この研究は、ラットに超低周波(ELF)磁界(MF:50 Hz)の全身ばく露を与え、その結果として白血球に遺伝毒性影響(酸化的DNA塩基改変)が生じるか否かを調べた。13匹のSDラットを無作為に4群に分けた。ケージ対照群、擬似ばく露群、低ばく露群(100 µT)、高ばく露群(500 µ)である。ばく露は1日2時間で、10カ月間継続された。ばく露後、DNAを抽出し、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC / MS)により、酸化的に改変されたDNA塩基(8-ヒドロキシグアニン(8-OH-Gua)、2,6-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-ホルムアミドピリミジン(FapyGua)および4,6-ジアミノ-5-ホルムアミドピリミジン(FapyAde))を測定した。その結果:DNA中のFapyAde、FapyGuaおよび8OHdGのレベルは、ケージ対照群および擬似ばく露群に比べ、100 μTばく露群および500 μTばく露群で増加した;ただし、統計学的有意性は100 μTばく露群でのみ観察された、と報告している。
フリーラジカルによって生じさせた以下の改変DNA塩基を調べた:8-ヒドロキシグアニン(8-OH-Gua);2,6-ジアミノ-4-ヒドロキシ-5-ホルムアミドピリミジン(FapyGua)及び4,6-ジアミノ-5-ホルムアミドピリミジン(FapyAde)。
13匹のラットを無作為に2つの実験群(n=3及びn=4)、偽ばく露群及びケージ対照群の4群に分けた。実験では、ICNIRPの公衆及び職業ばく露に対する限度値である、100µT及び500µTの50Hzばく露を選択した。
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuous for 2 h/day for 10 months |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | Pair of Helmholtz coils with a diameter of 25 cm, consisting of 225 turns of 1.0 mm insulated copper wire wound on frames of wood and aluminum; coils 25 cm apart, placed horizontally inside a 130 cm x 65 cm x 80 cm Faraday cage; rats kept in 17 cm x 17 cm x 25 cm methacrylate cages inside the coil system |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
ケージ対照群及び偽ばく露群と比較して、100µT及び500µTばく露群のどちらでも、DNA中のFapyAde、FapyGua及び8-OH-Guaのレベルが上昇した。統計的有意性が認められたのは100µTばく露群だけであった。
本研究は、超低周波磁界ばく露がイン・ビボで酸化的にDNA塩基改変を生じることを初めて報告するものである。この知見は、慢性的な50Hz磁界ばく露には潜在的に遺伝毒性があるかも知れないという仮説を支持している。
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