この研究は、超低周波電磁界(ELF-EMFs:50Hz)が、ポリエチレンリン脂質でカプセル化した磁性ナノ粒子(MNPs:酸化鉄)を取り込ませたヒト骨髄由来間葉系幹細胞(hBM-MSCs)の神経分化を増強させるか否かを調べた。ポリエチレンリン脂質でカプセル化したMNPsは循環速度、水溶性、細胞取り込みなどが増し、免疫原性が低下すると述べている。また事前に、MNPsを取り込んだhBM-MSCsの生存率と細胞内鉄含有量を測定した。その結果、50Hz ELF-EMFsは、MNPsを取り込んだhBM-MSCsの神経分化を増強させた、と報告している。
この研究は、神経組織再生の治療への利用可能性および神経変性疾患治療の観点で実施された。磁界ばく露および酸化鉄 (Fe3O4) ナノ粒子取り込みはどちらも単独で幹細胞の分化に影響を及ぼす因子として確認されている。ナノ粒子の生体適合性を向上させるため、その表面をポリエチレングリコール(PEG)で加工した。
細胞を以下の4群に分けた:1) 磁界ばく露、 2) 磁界ばく露およびナノ粒子取り込み(10 µg/mlを添加して培養)、3) ナノ粒子取り込みのみ、4) 分化対照群、5) 無処置対照群。1-4 群は、分化を誘導するために特別な培養液で処置された。
3組で実施された独立的実験3回から結果が導き出された。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 6 days
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 6 days |
ばく露の発生源/構造 | |
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チャンバの詳細 | petri dishes in in CO2 incubator |
ばく露装置の詳細 | incubator maintained 37 ± 0.1°C and 5% CO2; temperature in dishes was controlled and also maintained at 37 ± 0.1°C |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1 mT | - | 測定値 | - | - |
磁界ばく露 (group 1)、磁界ばく露およびナノ粒子(group 2)またはナノ粒子のみ (group 3)の細胞は、 分化培養液群(group 4)および対照群(group 5)に比べ、神経様形態を示した。group 2で最も顕著な影響が見られた。
磁界ばく露およびナノ粒子にばく露した細胞で、全ての神経マーカ遺伝子(NeuroD1, NF-L, MAP2, MBP and DCX) のmRNA発現が有意の増加した。これらの細胞では、NeuroD1およびMBP関連タンパク質発現が陽性であったが、対照群ではこの発現が見られなかった。 CREBのタンパク質発現も、対照群に比べ磁界ばく露およびナノ粒子ばく露群では有意に高かった。
著者らは結論として、「酸化鉄ナノ粒子を取り込ませたヒト骨髄由来間葉系幹細胞の50Hz磁界ばく露は、CREB関与の神経分化を助ける可能性がある」と述べている。
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