この研究は、脊髄の完全切断術(SCI:T11脊椎)を施した雄アルビノウィスターラットの切断部位に鉄酸化物ナノ粒子(IONPs)を含むゲルを植え込み、その後に磁界ばく露(MT:50 Hz、17.96 μT、1日2時間、5週間)を与え、機能回復の評価と組織学的分析を行った。SCIのみ群(n = 18)、SCI+IONP群(n = 15)、SCI+MF群(n = 15)、SCI+IONP+MF群(n = 18)を比較した。その結果、SCI+IONP+MF群では、運動および感覚運動評価および組織学的分析で有意な機能回復が認められ、切断傷の大きさも減少した;コラーゲン性瘢痕は見られず、IONPsは切断傷周辺の細胞内に局在した;併せて行ったインビトロ実験で、IONPs添加した媒質では過酸化水素による酸化ストレスの有意な低下が見られた、と報告している。
イン・ビボ試験では、ラットは4群に分けられた:1) 脊髄離断手術のみ(n=10)、2) 脊髄離断手術および創傷部位への酸化鉄ナノ粒子の植え込み(n=7)、3) 脊髄離断手術および磁界ばく露(n=8)、4) 脊髄離断手術およびナノ粒子の植え込みおよび磁界ばく露(n=14)。磁界ばく露は、脊髄離断手術の24時間後に開始した。処置の5週間後に、動物を屠殺し、組織学的検査を行った。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 2 hours/day for 5 weeks
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuous for 2 hours/day for 5 weeks |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | rats were kept in a Plexiglas enclosure placed on a wooden platform in the middle of the exposure chamber; two pairs of circular coils of equal diameter (1 m, turn ratio of 9/4/4/9) wound on the same cylindrical surface created a uniform magnetic field in the chamber |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 17.96 µT | - | - | - | - |
移動、感覚、自律神経系の機能が実験群4(酸化鉄ナノ粒子および磁界ばく露)で、実験群1-3に比べ、有意に上昇した。
実験群4では、他の群に比べ、有意な組織の回復および創傷体積の減少が組織学的に明らかであった。この群では、コラーゲン化した傷跡は見られず、ナノ粒子は創傷周囲の細胞内に局在していた。
著者らは、脊髄離断されたラットへの50Hz磁界と酸化鉄ナノ粒子の共ばく露は、脊髄離断の機能回復を改善する可能性があり、これは治療への応用の可能性がある、と結論している。
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