この研究は、「電磁界を原因と信じる特発性環境不耐性」(IEI-EMF)に関するボランティ実験研究である。実験の目的は、50Hz EMFばく露実験で報告された身体症状におけるノセボ効果の役割を検証すること、およびIEI-EMFの素因となる可能性のあるいくつかの心理的要因を探索することである。40人のボランティア大学生を被験者とした。被験者は、擬似ばく露実験の前に、一連の心理学的質問票(期待;IEI-EMF;状態不安(STAI);気質性楽観(LOT-R);身体化(PHQ-15);体性感覚増幅(SSAS))への回答を完了し、2通りの擬似ばく露実験(事前に「弱いEMF」または「強いEMF」の仮定を示唆)の実施中に、身体的症状のチェックリストへの回答を行なった。被験者は、仮定されたEMFの存在を「どの程度感知したか」も質問された。その結果、IEI-EMFスコアが高い被験者群では、より多くの症状を予想し、経験した;「強いEMFばく露」を示唆された場合、「弱いEMFばく露」を示唆された場合に比べ、症状スコアは高くなり、EMF感知の程度も上昇した;経験した症状スコアの主な予測因子は身体化スコアであり、自己評価したIEI-EMFの予測因子は体性感覚増幅スコアであった;総括すると、50Hz EMFに関する身体症状報告において、かなり大きなノセボ効果あるとの知見は、本実験でも確認されたが確認された、と報告している。
本研究の狙いは、1) 50Hz電磁界ばく露について報告されている身体的症状におけるノセボ効果の重要な役割を証明すること(それぞれ、低及び高強度の電磁界があるという示唆を伴う偽ばく露による);2) 電気過敏症の心理学的リスク要因としてのノセボ関連の人格特性を調査すること、であった。
著者らは、自身が電気過敏症だとする評価が高い被験者ほど、また、より高い強度の電磁界の存在が推定されるほど、症状ならびにばく露の存在の高い認知が報告されるであろうという仮説を立てた。加えて、実験中のより高い身体化及び体性感覚の増幅スコア、より強い不安、ならびに、より低い楽観スコアが、症状の報告及び電気過敏症の自己評価の増加と相関しているとの仮説が立てられた。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
ばく露時間:
two times 10 min
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周波数 |
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タイプ |
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ばく露時間 | two times 10 min |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | test person sitting on a chair above Helmholtz coils which were only virtually connected to the power supply and therefore could not emit any field; test persons believed to be exposed to a weak field during the first 10 min and to a high intensity field for the last 10 min |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
No parameters are specified for this exposure.
電気過敏症の自己評価のスコアがより高い被験者は、より多くの症状を予測し、経験した。より強い電磁界ばく露の示唆は、想定上の弱いばく露と比較して、より高い症状のスコアと、電磁界の認知の強化を生じた。経験した症状のスコアは主に身体化のスコアと相関していたが、電気過敏症の自己評価は体性感覚の増幅スコアと相関していた。
結論として、この知見は、50Hz電磁界に関する症状の報告には、相当なノセボ効果があることを確認するものである。電気過敏症は、高いリスク認知や予測、自己モニタリング、身体化、体性感覚の増幅といった、心理社会的要因を通じて形成されるようである。
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