<目的>この研究は、50Hz、1mTの注意、記憶、健康状態、低周波電磁界に対する感受性などを検討した。 <対象・方法>ウイーン近郊の変電所で実験をおこなった。電磁界は1mT(±10%)であった。実験条件は(1)磁界ー雑音(45 dB)、(2)雑音45 dB、(3)コントロール(<3μT、<28 dB)でおこなった。各実験は1時間かかった。被験者は66名(男54、女12、18~36才;平均23才)。半数は学生、半数は陸軍兵士。表1に実験の組合せを表示。施行したテストは(1)注意集中と負荷(d2)、(2)速さと正確さ(WIT)、(3)言語記憶、(4)気分(不快)、(5)人格テスト、(6)電磁界に対する感受性質問。 <結果・結論>変化が認められなかったのはd2-エラーのみであった。d2-エラーは視覚処理の失敗率を示す。他の機能すなわち注意集中、認知、記憶は磁界ー雑音条件で減少した。電磁界に「敏感ではない」という被験者群では差はなく、「敏感である」という群では差がはっきりしている。機序については殆ど知られていない。
「対照」、「雑⾳」、「磁界」の3条件を調べた。磁界の発⽣は雑⾳も伴うことから、「雑⾳」条件を疑似ばく露とした。合計で66⼈の被験者を調べた。36⼈を「対照」条件及び「磁界」(またはその逆)にばく露した。残りの30⼈を「対照」条件及び「雑⾳」条件(またはその逆)にばく露した。2つの条件の間に1時間の休憩を⼊れた。被験者は⾃⾝による評価に従い、電磁界に対して敏感なグループと敏感でないグループに分けた。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
1 hour
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | 1 hour |
ばく露の発生源/構造 |
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チャンバの詳細 | wooden cabin in a transformer station |
ばく露装置の詳細 | subjects were seated in a wooden cabin, which was placed at a distance from a transformer coil, so that the magnetic field was approximately 1 mT in the head region; magnetic field exposure was accompanied with noise of about 45 dB; temperature was 21°C and humidity circa 48% |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
Additional information | control condition: background magnetic field was less than 3 µT and noise less than 28 dBA; noise condition: background field was less than 3 µT and noise about 45 dB as in magnetic field condition |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1 mT | - | - | - | at the head ± 10% |
「対照」と「雑音」条件の比較では有意差は認められなかった。「磁界」条件を「対照」と比較した場合、有意差が認められた。ばく露された被験者は、集中力、精度及び記憶課題遂行能力が低下した。「磁界」条件と「雑音」条件の比較でも有意差が認められた:記憶課題遂行能力及び精度が有意に低下し、より強い不快感が観察された。被験者の自己評価による感受性を統計的分析に含めると、電磁界に敏感であると評価した被験者では影響がより強まったが、敏感ではないと評価した被験者では影響は消失した。
このデータは、50 Hz磁界による集中力、認知及び記憶課題遂行能力の低下は、電磁界に対して敏感であるという自己認識に影響されるようであることを示している、と著者らは示唆している。
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