研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[ヒトにおける局所的な直流及び交流電界の知覚] med./bio.

Perception of local DC and AC electric fields in humans

掲載誌: Bioelectromagnetics 2005; 26 (5): 357-366

この研究は、直流(DC)および交流AC)発生源が生成する弱い電界の存在を検出するヒトの能力にどのような要因が寄与するかを調べた。16人の被験者が実験に参加した。製作したばく露チャンバを用いることで、身体の限られた体表面(前腕および手)に、最大65 kV / mのDC電界および最大35 kV / m(周波数60 Hz)のAC電界ばく露を与えることができた。知覚は、信号検出理論から派生した手順(階段法および評点法)を用いて測定した。結果として、参加した被験者は1人も、局所に与えられたDC電界の存在を検出できなかった;対照的に、9/16の被験者は局所的AC電界を感知したが、検出閾値被験者間で大きく異なった;ばく露部位に関しては、ACばく露が背部前腕に限定された場合、感知の成績は前腕および手のばく露の場合の成績と同様であった;対照的に、ACばく露が手に限定された場合、被験者は、多毛、無毛に拘らず、AC電界を信頼性高く検出することはできなかった;少数の被験者(3/9)は無毛の手掌に提示された電界を感知する証拠が得られた;前腕および手の除毛を施した場合、被験者はAC電界を検出できなかった;これは、誘発された感覚が主にばく露領域にある体毛の動きに依存することを示唆する、と報告している。

研究目的(著者による)

直流電流(DC)及び交流電流AC)発生源から生じる弱い電界の存在をヒトが検出する能力に寄与する要因の幾つかに対処すること。

詳細情報

本研究は、全身ばく露についてのBlondin他の先行報告(publication 2309 参照)を拡張するものである。

最初のセッション(スクリーニングセッション)では、ばく露部位は左前腕及び左手、回内させた腕で構成、即ち背側皮膚表面をばく露した。最大のDC電界の存在を検出できた被験者はいなかったので、それ以降の検査はAC電界に限定した。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1:
  • DC/static
ばく露時間: repeated exposures each in four periods with a total maximum of 25 s
  • 電界強度: 30 kV/m minimum
  • 電界強度: 65 kV/m maximum (in the screening session, field intensity was increased in steps of 10 kV/m from 30 up to 65 kV/m)
ばく露2: 60 Hz
ばく露時間: repeated exposures each in four periods with a total maximum of 25 s

ばく露1

主たる特性
周波数
  • DC/static
タイプ
  • electric field
ばく露時間 repeated exposures each in four periods with a total maximum of 25 s
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • A device to expose the forearm and hand to a local DC or AC electric field was designed and built.
チャンバの詳細 The electric field was generated by a plate suspended in the middle of the enclosure. The ground plate, on which the subject¿s arm rested, was elevated from the bottom of the enclosure, and heated to a comfortable temperature. The radial field intensity distribution (around the arm) was maximum at the highest exposed point in the chamber. Along the arm, field intensity was highest distally (hand), declining proximally (forearm).
ばく露装置の詳細 During testing, the subject was seated beside the exposure chamber. The left forearm and hand were inserted into the chamber through an aperture in the metal grid that surrounded the apparatus, and rested on the floor of the chamber.
Additional information Each signal trial (field present) consisted of four periods: (1) onset period (increase in field from 0 to the desired intensity, constant slope, maximum 7 s); (2) observation period (constant field, 7 s); (3) response period (maximum 4 s, i.e., until the subject responded); and (4) offset period (decrease in field to 0, same slope, maximum 7 s). There was no delay before the beginning of the next trial. Non-signal trials had the same time-course as signal trials, but no electric field was presented.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
電界強度 30 kV/m minimum 測定値 - -
電界強度 65 kV/m maximum 測定値 - in the screening session, field intensity was increased in steps of 10 kV/m from 30 up to 65 kV/m

ばく露2

主たる特性
周波数 60 Hz
タイプ
  • electric field
ばく露時間 repeated exposures each in four periods with a total maximum of 25 s
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
電界強度 35 kV/m maximum 測定値 - in the screening session, field intensity was increased in steps of 5 kV/m from 20 up to 35 kV/m
電界強度 8 kV/m minimum 測定値 - -
電界強度 17 kV/m - 測定値 - -
電界強度 26 kV/m - 測定値 - -
電界強度 35 kV/m maximum 測定値 - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
  • 感覚器
調査の時期:
  • ばく露前
  • ばく露中
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

調査した被験者16人のうち、誰も局所的なDC界を検出しなかった。対照的に、16人中の9人が局所的なAC電界に敏感であったが、被験者間で検出閾値の差が大きかった。

局所ばく露を背側前腕に限定した場合、成績は前腕と手をばく露した場合と同等であった。対照的に、ばく露を手に限定した場合(毛深い、または毛のない皮膚のいずれか)、AC電界を確実に検出できなかったが、少数の被験者(9人中の3人)は、毛のない掌に対する界の存在を検出している幾つかの証拠を示した。

前腕と手を脱毛した場合、被験者はAC電界を検出できなかった。このことは、感覚の誘発ばく露部位にある毛の動きに依存することを示唆している。

研究の種別:

研究助成

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