研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[電磁界ばく露を原因と考える症状の有病率:スイスにおける横断的代表調査] epidem.

The prevalence of symptoms attributed to electromagnetic field exposure: a cross-sectional representative survey in Switzerland

掲載誌: Soz Praventivmed 2006; 51 (4): 202-209

【目的】健康リスク認識を調査するとともに、電磁界EMF)やその他の環境要因へのばく露に帰せられる自己報告の症状の広がりをスイスの一般集団の中で調べるため。〔方法〕2004年の5月から6月にかけて、スイス国民の中から抽出された代表サンプル(n=2048, >14歳)に電話による聞き取り調査を行った。質問は以下の内容に関してであった:1)5つの環境要因(そのうちの一つがEMF)に帰せられる健康面の症状、2)12の環境リスク要因(うち5つがことなるEMF源)に絡んだ健康リスク認識。【結果】我々の研究サンプルにおける5%(95% Cl 4-6%)の広がりで電磁過敏症(EHS)が見出された。EHS の人々の間でもっとも一般的な健康上の訴えは睡眠障害(43%)と頭痛(34%)であり、それらの大半は電力線携帯電話に起因するとされていた。加えるに、53%(95% Cl 51-55%)が、自身の健康上の症状をEMFからの影響に帰すことはないものの、EMFからの健康への悪影響を案じていた。【結論】住民の大きな割合が懸念を抱いたり、自身の症状をEMFに帰しており、我々の日常生活の至るところにEMFが行き渡れば、社会的対立を生ずる可能性もある。

研究の目的(著者による)

電磁界及びその他の環境ばく露に対する自己申告の症状有病率を評価し、健康リスク認知を調査するため、スイスにおいて横断的調査を実施した。

詳細情報

研究参加者には電話インタビューで、5つの環境要因(災難、天候、大気汚染、騒音、電磁界)を原因と考える健康症状について尋ねた。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 電磁界を懸念しない人々
集団 2 電磁界を懸念する人々
集団 3 EHSの人々

調査対象集団

調査規模

タイプ
参加者 2,048
参加率 55 %
統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

本研究サンプルでは電磁過敏症について5%の有病率が認められた。最も一般的な愁訴は睡眠障害頭痛で、そのほとんどは電力線携帯電話端末が原因とされた。参加者の53%は、自身の症状の原因が電磁界と考えることなしに、電磁界からの健康への悪影響について心配していた。

研究の限界(著者による)

本研究のような横断的研究では、電磁界健康への悪影響との因果関係については結論付けられない。

研究助成

関連論文