2000年から2004年にかけて公にされた文献のうち、移動通信による電磁界(EMF)を扱ったもの、電磁過敏症(EHS)あるいは健康障害の不定症状を扱ったものを、それぞれ概観する。基本的には、権威あるデータベースからの文献が系統的に検索された。ばく露がそれらの効果を引き起こしたという因果関係の根拠を判定するため、いずれの研究についても、設計と品質がひとつの基準リストによって見積もられた。最後に、十分な質を備えた13件の研究がこの概観のための考察対象になった。あるひとつの誘発研究においてのみ、自己申告の電磁過敏症の症例者がEMFにばく露されていた。界の状態についての症例者の感知は偶然によって得られるであろうもの以上ではなかった。携帯電話へのばく露のために損なわれた健康についての、無作為に選ばれた5件の横断研究は内容に矛盾があった。これらの研究は、より信頼性のあるばく露評価を求める余地はあろうが、ばく露期間の短さと研究のサイズの小ささゆえに、これらの研究には限界がある。ばく露と健康障害の不定症状との間に正の関係性を見出している二三の観測的疫学研究からは、方法論的限界ゆえに、確かな結論を引き出すことはできなかった。ばく露と効果の因果関係を、これらの横断研究から引き出すことはできなかったが、それは、界の状態と、健康上の訴えが同時に評価されていたからである。加えるに、ばく露評価の正当性は立証されていない。入手できる限られた研究に基づいて、結論を言えば、損なわれた健康状態と、携帯電話放射線へのばく露との結びつきを示す確かな証拠は、現在のところない。しかしながら、この領域における研究が量と質において限られているために、長期の健康上の影響の可能性を確信を持って除外することはできない。
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