研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (observational study)

[健康な生殖可能年齢の女性における夜間の6-スルファトキシメラトニン、エストロゲン、黄体形成ホルモン、及び卵胞刺激ホルモンに対する60Hz磁界ばく露の影響:クロスオーバー試験の結果] med./bio.

Effects of 60-Hz magnetic field exposure on nocturnal 6-sulfatoxymelatonin, estrogens, luteinizing hormone, and follicle-stimulating hormone in healthy reproductive-age women: results of a crossover trial

掲載誌: Ann Epidemiol 2006; 16 (8): 622-631

この研究は、制御された条件下での60 Hz磁界へのばく露が、尿中の夜間6-スルファトキシメラトニンレベル、および黄体形成ホルモンLH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、およびエストロゲンレベルに影響するか否かを、クロスオーバーデザインのボランティア実験で調べた。参加者は、月経周期の初期から中程度の段階で連続5夜の終夜実験に参加した。参加者の半数は、最初の連続5夜は、環境レベルよりも5〜10 mG高い磁界ばく露に割り当てられ、ばく露の最終夜、夜間尿サンプルが採取された。翌月、参加者は擬似ばく露に割り当てられた。参加者の他の半分は、逆の順でばく露条件が割り当てられた。その結果、磁界ばく露は6-スルファトキシメラトニン濃度の低下と関連したが、生殖ホルモン濃度の変化は観察されなかった;処方薬服用中の参加者および無排卵の参加者は、磁界ばく露による6-スルファトキシメラトニンレベルの低下がより顕著であった、と報告している。

研究目的(著者による)

60Hz磁界ばく露が、健康な閉経前の女性(20-45歳;n=132)における6-スルファトキシメラトニンの夜間の尿中レベルの低下、ならびに黄体形成ホルモン卵胞刺激ホルモンエストロゲンのレベルの上昇と関連しているかどうかを調べること。

詳細情報

居住環境磁界ばく露は、正常な夜間のメラトニンレベルの上昇を攪乱し得ることと、これが乳がんリスク上昇につながることが示唆されてきた。

参加者の半数を、月経周期の黄体期初期から中期の間の連続する5夜、磁界ばく露に割り当てた。翌月、参加者を偽ばく露した。残りの半数の被験者についてはばく露の順序を逆にした。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 60 Hz
ばく露時間: 5 consecutive nights

ばく露1

主たる特性
周波数 60 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 5 consecutive nights
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • charging base of electrical toothbrush positioned underneath the bed of the testperson
ばく露装置の詳細 The height of the appliance underneath the test person's bed was adjusted until the magnetic field at the pillow was 0.5 - 1 µT greater than the ambient magnetic field level without the device turned on.
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 1 µT maximum 測定値 - -
磁束密度 0.5 µT minimum 測定値 - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

磁界ばく露(住居での環境磁界より強い磁界)は、6-スルファトキシメラトニンのレベル低下と関連していたが、生殖ホルモンのレベルに変化は認められなかった。高齢、薬物投与、高い肥満度指数が、夜間の6-スルファトキシメラトニンのレベル低下と関連していた。

この結果は、磁界ばく露が夜間のメラトニンのレベル低下と関連しているという更なる証拠を提示しているが、そのようなばく露エストロゲン黄体形成ホルモン、または卵胞刺激ホルモンの尿中レベルの上昇を生じるという仮説を支持していない。ゆえに、仮に磁界メラトニンの作用を通じて乳がんの発生リスクに寄与しているとしても、本調査のデータは、そのようなリスク部分的に、対応するエストロゲン黄体形成ホルモン、及び卵胞刺激ホルモンの尿中レベルの上昇によって生じる、という仮説を支持していない。

研究の種別:

研究助成

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