この研究は、50 Hz、50μTの磁界(MF)への慢性ばく露が、メスのラットのDMBA(7,12-dimethylbenz [a] anthracene)乳がんモデルに与える影響を調べた。夜間メラトニンレベルにも注目した。216匹のメスのSprague-Dawleyラットを4つの群に分けた。2群(各99匹)は、DMBAの経口投与後、50 Hz、50μTのMFに24時間/日、7日/週で、91日間のばく露(または擬似ばく露)を受けた。他の2群(各9匹)は、DMBA処理なしで、同様のMFばく露(または擬似ばく露)を受けた。DMBA処置動物を週1回触診して乳房腫瘍の発生を評価した。3ヶ月のMFばく露終了後に、剖検して乳腺腫瘍の数と大きさが測定された。別の対照動物において、DMBAは最初の投与後3カ月以内に約55%に触知可能な腫瘍を誘導することを確認した。その結果、DMBA投与の8週間後に、MFばく露群は擬似ばく露群よりも有意に多くの腫瘍を示した;剖検時には、MFばく露+DMBA処置群の方が、DMBA処置の対照よりも肉眼的に見える乳房腫瘍が有意に多かった;50μTのMFへの9および12週間のばく露後の夜間血清メラトニンレベルには、MFばく露群と擬似ばく露群で有意差がなかった、と報告している。
発がん化学物質DMBAを用いて乳腺腫瘍を誘発させた。ばく露の開始時に最初のDMBA(ラット1匹当たり5mg)を適用し、総量がラット1匹当たり20mgになるまで1週間隔で更に3回適用した。
本研究では合計216匹のラットを用いて、4群に分けた:グループA) 99匹、DMBA処理、磁界ばく露。グループB) 99匹、DMBA処理、磁界偽ばく露。グループC) 9匹、DMBA非処理、磁界ばく露。グループD) 9匹、DMBA非処理、磁界偽ばく露。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
Modulation type:
CW
ばく露時間:
continuous, 24 h/day, 7days/week, for 91 days
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous, 24 h/day, 7days/week, for 91 days |
Modulation type | CW |
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ばく露の発生源/構造 |
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チャンバの詳細 | exposure chambers, 4 cages 39x55x22cm, 9-10 animals/cage |
ばく露装置の詳細 | cages inside the coils |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 50 µT | - | 測定値 | - | - |
DMBA適用の8週間後、磁界ばく露群では偽ばく露群よりも、有意に多くの腫瘍が認められた。剖検時、磁界ばく露・DMBA処理群ではDMBA処理対照群よりも、肉眼で見える乳腺腫瘍が有意に多かった。
ばく露終了時に脾臓Tリンパ球の増殖を判定したところ、磁界ばく露・DMBA非処理群では磁界偽ばく露・DMBA非処理群よりも、有意に抑制されたことがわかった。
DMBA処理・磁界ばく露群と偽ばく露群では、 夜間のメラトニンレベルに有意差は認められなかった(ばく露開始の9週間後及び12週間後に判定)。
別の知見:ばく露群と偽ばく露群で行動学的な差は認められなかった。更に、4群の体重、脾臓及び肝臓の重量に有意差は認められなかった。
本研究の結果は、DMBA処理した雌ラットの長期間の50µT磁界ばく露は乳腺腫瘍の成長と増殖を有意に強めることを示すものである。
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