この研究は、超低周波電磁界(ELF-EMF)ばく露を受けた2種類のヒト細胞株(HaCaTおよびTHP-1)の応答におけるカタラーゼ、シトクロムP450、および誘導型一酸化窒素シンターゼのさまざまな動態学的定数を推定した。さらに、炎症性刺激に対する細胞応答がELF-EMFばく露によって変化するか否かを評価するために、両方の細胞株にリポ多糖(LPS)刺激を与える実験も行なった。すなわち実験は、2つのヒト細胞株をそれぞれ4群に分けて行われた。対照群、磁界ばく露群、LPS刺激群、磁界ばく露+LPS刺激群である。その結果について、具体的な提示はなされていないが、「実験された2つの細胞株は、LPSと超低周波磁界の組み合わせばく露に対する応答において似通った傾向を示したが、全体的には酵素触媒値が全く異なっていたことから、神経細胞と非神経細胞の明確な違いが示された」と結論される、と報告している。
ばく露 | パラメータ |
---|---|
ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for up to 25 h
|
|
cells were treated in the following four groups: i) control ii) Escherichia coli (LPS) iii) exposure to EMF iv) LPS + exposure to EMF
周波数 | 50 Hz |
---|---|
タイプ |
|
波形 |
|
ばく露時間 | continuous for up to 25 h |
ばく露の発生源/構造 | |
---|---|
ばく露装置の詳細 | 22 cm long solenoid with a radius of 6 cm and 160 turns of copper wire with a diameter of 1.25 x 10-5 cm; field homogeneity in the solenoid's center = 98 %; cells positioned on a grid in the center of the solenoid; solenoid placed inside an incubator with 5 % CO2 and a constant temperature of 37 ± 0.3°C |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
磁束密度 | 1 mT | effective value | 測定値 | - | - |
著者らはこの研究の結果を要約していないので、以下の抜粋はEMF-Portalの編集者が実施した:
HaCaT細胞におけるカタラーゼの活性:調査したパラメータの大半は、LPS刺激で有意に上昇し、磁界ばく露では上昇の程度はより少なかったが、共ばく露(LPS+磁界)では対照群と比較して影響は見られなかった。
TPH-1細胞におけるカタラーゼの活性:磁界ばく露は調査したパラメータの大半について、LPS単独刺激または共ばく露(LPS+磁界)と比較して、相反するか、より強調された影響を示した。例えば、磁界ばく露は合計速度を有意に上昇させたが、共ばく露またはLPS単独ばく露は低下を生じた。
HaCaT細胞におけるチトクロームP450の活性:磁界ばく露下のチトクロームP450の活性のプロットはガウス分布曲線にフィットせず、磁界ばく露に対する動態パラメータの正確な値は、最小速度(対照群と比較して5倍上昇)を除いて利用できなかった。
TPHJ-1細胞におけるチトクロームP450の活性:対照群と比較して、LPS処理、磁界ばく露、及び共ばく露後に、合計速度および最小速度が上昇した。磁界ばく露に対する「減少率」、ピーク時間及びピーク速度は検出できなかった。
HaCaT細胞におけるiNOSの活性:調査したパラメータの大半は、LPS刺激ならびに共ばく露(より強く)で有意に上昇し、磁界ばく露では上昇の程度はより少なかった。
著者らは、調査した細胞株は、LPSと超低周波磁界に対して同様の傾向を示したが、触媒の値は全く異なっていて、このことは、神経細胞と非神経細胞の明確な違いを示している、と結論付けている。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。