この研究の目的は、1mT-50Hz の極低周正弦波の電磁界(EMF)への夜間ばく露が、ヒト単核白血球内の、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)および単球走化性タンパク質1(MCP-1)の発現および産生に影響を与えるか否かを調べることであった。RT-PCR とウエスタンブロット分析を用いたところ、EMFばく露が培養ヒト単核細胞内のiNOSおよびMCP-1の発現に、mRNAレベルとタンパク質合成において影響することが明らかになる。興味深いことに、EMFばく露の効果は明らかに、iNOS および MCP-1の発現を増強させたり抑制したりすることに関して異なっていた。iNOS はmRNAレベルにおいてもタンパク質レベルにおいても下方調整された一方で、MCP-1 は上方調整された。これらの結果は、EMFを媒介にして生体の炎症的反応を調節することに関して、有益な情報を提供する。しかしながら、MCP-1とNOのバランスが重要であるかもしれない幾つかの疾病において、EMFが非薬物的に、NOの抑制者やMCP-1 の誘導者として働くことを論証するには更なる研究が必要である。
ケモカイン及びiNOSは各種の免疫学的及び炎症プロセスにおいて中心的な役割を担っている。NO及びMCP-1はそれらの発現を相互に変化させ、多くの疾病の発生と進行において重要だが十分には定義されていない役割を担っている。
各被験者(n=10)からの細胞を4群に分けた:1) 対照細胞、2) LPSで刺激した細胞、3) 電磁界にばく露した対照細胞、4) LPSで刺激及び電磁界にばく露した細胞。
ばく露 | パラメータ |
---|---|
ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
overnight
|
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cells were treated in four groups: i) control ii) cells stimulated with lipopolysaccharide (LPS, 10 µg/ml) iii) cells exposed to EMF iv) cells stimulated with LPS and exposed to EMF
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | overnight |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | 0.22 m long solenoid with a radius of 0.06 m and 160 turns of 1.25 x 10-3 m copper wire; cells placed in the center of the solenoid |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1 mT | effective value | 測定値 | - | - |
データは、電磁界ばく露はイン・ビトロのヒト単球においてmRNAレベル及びタンパク質合成でのiNOS及びMCP-1の発現に影響を及ぼすことを示した。ばく露の影響は、iNOS及びMCP-1発現の増強及び阻害に関して明らかに異なっていた:iNOSはmRNAレベル及びタンパク質レベルの両方で下方制御されたのに対し、MCP-1は上方制御された。
結論として、電磁界は、命題分子の一方を活性化させ、他方を阻害する、またはその逆で、過剰な刺激から細胞を防護し、細胞の恒常性に寄与するメカニズムを確立する、NOの非薬理学的阻害剤及びMCP-1の誘導物質を代表するものかも知れない。これらの知見は、電磁界が介在するイン・ビボでの免疫応答の変化に関して有益な情報を提示している。
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