研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[超低周波磁界への親の職業ばく露と小児がん:ドイツの症例対照研究] epidem.

Parental occupational exposure to extremely low frequency magnetic fields and childhood cancer: a German case-control study

掲載誌: Am J Epidemiol 2010; 171 (1): 27-35

低周波磁界(ELF-MFs)は、国際がん研究機関によって人への潜在的発がん性要因として分類されている。本研究はドイツでの集団症例対照研究で、親が職場でELF-MFsにばく露していると予測される子供は、がん発生の危険性が上がるかどうかについて調査した。0~14歳の症例が、ドイツの小児がん登録から確認され、対照群は地域住民登録所から選択された。親の職業経歴はアンケートと電話による聞き取りで記録され、予測される磁界ばく露職業ばく露マトリクスによって評価された。2382の対照群と2049の症例(急性白血病の846人の子供、非ホジキンリンパ腫の159人の子供、中枢神経腫瘍の444人の子供、他の固形腫瘍の600人の子供)で分析が行われた。周波数に適合させた条件付きロジスティック回帰モデルによって、父親が0.2μTを超える磁界職業ばく露している子供においてがん発生の危険性上昇はないことが明らかにされた。また、1μTを超える磁界レベルでも危険性上昇の証拠は見られなかった。非常に小さな数に基づいた母親の職業ばく露も、がん発生の危険性上昇との関係は見られなかった。今回の大規模症例対照研究では、小児がんの危険性は予測される親のELF-MFばく露とは結びつかなかった。

研究の目的(著者による)

職業的により高いレベルの超低周波磁界ばく露された親の子どもはがんを発症するリスクが高いかどうかを調査するため、ドイツにおいて症例対照研究を実施した。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ: (オッズ比(OR))

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 ELF磁界への父親の職業ばく露: ≤ 0.2 µT
集団 2 ELF磁界への父親の職業ばく露: > 0.2 µT
参照集団 3 ELF磁界への父親の職業ばく露: ≤ 0.1 µT
集団 4 ELF磁界への父親の職業ばく露: > 0.1 - 0.2 µT
集団 5 ELF磁界への父親の職業ばく露: > 0.2 - 1 µT
集団 6 ELF磁界への父親の職業ばく露: > 1 µT

調査対象集団

症例集団

対照集団

調査規模

症例 対照
評価可能 2,049 2,382
その他:

症例には、急性白血病の子ども846人、非ホジキンリンパ腫の子ども159人、中枢神経系腫瘍の子ども444人及びその他の腫瘍の子ども600人が含まれる。

統計学的分析方法: (調整: )

結論(著者による)

父親の約24%、母親の6.6%が、0.2µTを超える超低周波磁界職業ばく露されていた。0.2µT超の磁界職業ばく露されていた父親の子どもには、がんリスクの上昇は認められなかった。更に、1µTを超えるレベルの磁界についてもがんリスクの上昇は認められなかった。母親の磁界への職業ばく露も子どものがんリスクの上昇と関連していなかった。
この大規模症例対照研究では、小児がんリスクは、妊娠前の親の超低周波磁界へのばく露とつながっていなかった。

研究助成

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