この疫学研究は、無線周波電磁界と小児白血病に関する西ドイツの症例対照研究である。調査対象は、振幅変調送信機16台と周波数変調送信機8台を取り付けた高出力のラジオ・テレビタワーの周辺の行政区である。症例は、0-14歳、1984-2003年に白血病と診断され、ドイツ小児がん登録に登録されている小児である。年齢、性別、タワー区域をマッチさせた対照を、1症例に対し3人、住民登録から無作為的に抽出した。症例1959人、対照5848人を分析した。診断一年前の各個人のRF-EMFばく露を電界強度予測プログラムを用いて推定した。条件付きロジスティック回帰分析の結果として、全RF-EMFを考慮した場合、全てのタイプの白血病についてのオッズ比は0.86であった(電界強度分布の4分の3タイル以上での発生率を4分の1タイル以下のものと比較した値な)、などの所見を報告し、全体として、RF電磁界に関連した小児白血病のリスク上昇は示されなかった、と結論している。
実効放射電力が少なくとも200kWのAM送信装置、及び、実効放射電力の合計が少なくとも200kW(FM)または500kW(TV)のFM/TV送信装置の近傍の自治体を、研究地域に選択した。送信装置の動作特性に基づく界強度予測プログラムを用いて、個人のばく露を計算した。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | AM及びFM/TV送信装置へのばく露:0 - < 90 %分位:0.004 - < 0.504 V/m |
集団 2 | AM及びFM/TV送信装置へのばく露:90 - < 95 %分位:0.504 - < 0.701 V/m |
集団 3 | AM及びFM/TV送信装置へのばく露:95 - ≤ 100 %分位:0.701 - 7.742 V/m |
参照集団 4 | AM送信装置へのばく露:0 - < 90 %分位:0.000 - < 0.488 V/m |
集団 5 | AM送信装置へのばく露:90 - < 95 %分位:0.488 - < 0.683 V/m |
集団 6 | AM送信装置へのばく露:95 - ≤ 100 %分位:0.683 - 7.741 V/m |
参照集団 7 | FM/TV送信装置へのばく露:0 - < 90 %分位:0.001 - < 0.164 V/m |
集団 8 | FM/TV送信装置へのばく露: 90 - < 95 %分位:0.164 - < 0.198 V/m |
集団 9 | FM/TV送信装置へのばく露: 95 - ≤ 100 %分位: 0.198 - 0.815 V/m |
参照集団 10 | 1983 - 1991年のAM及びFM/TV送信装置へのばく露:0 - < 90 %分位:0.004 - < 0.546 V/m |
集団 11 | 1983 - 1991年のAM及びFM/TV送信装置へのばく露:90 - < 95 %分位:0.546 - < 0.779 V/m |
集団 12 | 1983 - 1991年のAM及びFM/TV送信装置へのばく露:95 - ≤ 100 %分位:0.779 - < 7.022 V/m |
参照集団 13 | 1992 - 2002年のAM及びFM/TV送信装置へのばく露:0 - < 90 %分位:0.005 - < 0.486 V/m |
集団 14 | 1992 - 2002年のAM及びFM/TV送信装置へのばく露:90 - < 95 %分位:0.468 - < 0.653 V/m |
集団 15 | 1992 - 2002年のAM及びFM/TV送信装置へのばく露:95 - ≤ 100 %分位:0.653 - < 7.742 V/m |
参照集団 16 | AM及びFM/TV送信装置へのばく露、出生から診断まで転居しなかった子ども:0 - < 90 %分位:0.004 - < 0.553 V/m |
集団 17 | AM及びFM/TV送信装置へのばく露、出生から診断まで転居しなかった子ども:90 - < 95 %:0.553 - < 0.788 V/m |
集団 18 | AM及びFM/TV送信装置へのばく露、出生から診断まで転居しなかった子ども:95 - ≤ 100 %:0.788 - < 7.742 V/m |
参照集団 19 | AM及びFM/TV送信装置へのばく露、1 - 4歳の子ども:0 - < 90 %分位:0.004 - < 0.520 V/m |
集団 20 | AM及びFM/TV送信装置へのばく露、1 - 4歳の子ども:90 - < 95 %分位:0.520 - < 0.751 V/m |
集団 21 | AM及びFM/TV送信装置へのばく露、1 - 4歳の子ども:95 - ≤ 100 %分位:0.751 - 7.742 V/m |
集団 22 | AM及びFM/TV送信装置までの距離:0 - < 2 km |
集団 23 | AM及びFM/TV送信装置までの距離:2 - < 6 km |
集団 24 | AM及びFM/TV送信装置までの距離:6 - < 10 km |
参照集団 25 | AM及びFM/TV送信装置までの距離:10 - < 15 km |
集団 26 | AM及びFM/TV送信装置までの距離:≥ 15 km |
集団 27 | AM送信装置までの距離:0 - < 2 km |
集団 28 | AM送信装置までの距離:2 - < 6 km |
集団 29 | AM送信装置までの距離:6 - < 10 km |
参照集団 30 | AM送信装置までの距離:10 - < 15 km |
集団 31 | AM送信装置までの距離:≥ 15 km |
集団 32 | FM/TV送信装置までの距離:0 - < 2 km |
集団 33 | FM/TV送信装置までの距離:2 - < 6 km |
集団 34 | FM/TV送信装置までの距離:6 - < 10 km |
参照集団 35 | FM/TV送信装置までの距離:10 - < 15 km |
集団 36 | FM/TV送信装置までの距離:≥ 15 km |
症例 | 対照 | |
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適格者 | 2,086 | - |
参加者 | 1,959 | 5,848 |
本研究は、TV及びラジオ放送送信装置の近傍での小児白血病のリスク上昇と無線周波電磁界との関連を示さなかった。AM及びFM/TV送信装置、または1983-1992年の期間についての個別分析では、リスク上昇は認められなかった。
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