前報(Hocking 1996)で、オーストラリアの北シドニーのテレビ塔周辺の3つの自治体から成る内部エリア(半径4km以内)に居住する小児において、十分離れてテレビ塔を囲む6つの自治体から成る外部エリア(半径4-12km)の小児を比較して、小児白血病リスクの上昇が確認された。今回の研究では、全小児白血病および急性リンパ性白血病(ICD9, rubric 204.0)に関して、これらの小児の生存状況を調査した。急性リンパ性白血病の123例のうち、29例(そのうち16例は死亡)は内部エリア居住、94例(そのうち34例は死亡)は外部エリア居住であった。両グループの生存率には有意な差異があった(ログランク検定:p=0.03、Wilcoxon検定:p=0.05)。5年生存率は、内部エリアで55%、外部エリアで71%であった(すなわち、内部エリアの対象者は、外部エリアに対象者より生存率が23%低い傾向があった)。10年生存率は、内部エリアで33%、外部エリアで62%であった。内部エリアと外部エリアを比較した調整後の死亡率比は2.1(95%信頼区間:1.1-4.0)であった。オーストラリアの北シドニーの小児白血病症例において、テレビ塔に接近した居住と生存率低下には関連があった。
Hocking他(1996)による先行研究では、オーストラリアのシドニー北部にあるTVタワーを取り囲む内側円環部(半径 < 4km)に住んでいた子どもに、外側円環部(半径4-12km)に住んでいた子どもと比較して、小児白血病のリスク上昇が同定された。本研究の狙いは、小児白血病全体、及び急性リンパ性白血病の子どもの生存率を調べることである。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 外側円環部:TVタワーから ≥ 4 - 12 kmの距離の自治体;電力密度:< 0.2 µW/cm² |
集団 2 | 内側円環部:TVタワーから < 4 kmの距離の自治体;電力密度:0.2 - 8.0 µW/cm² |
タイプ | 値 |
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合計 | 160 |
急性リンパ性白血病の子ども123人のうち29人(16人は死亡)がTVタワーに近い自治体の内側円環部、94人(34人は死亡)がより遠くの外側円環部で生じていた。2グループ間の生存率に有意差が認められた。内側円環部での5年生存率は55%、外側円環部では71%であった(即ち、内側円環部の被験者は外側円環部の被験者と比較して、生存する見込みが23%低かった);内側及び外側円環部での10年生存率は、それぞれ33%及び62%であった。
著者らは、オーストラリアのシドニー北部でのTVタワーへの住居の近接度と小児白血病の症例の生存率低下との間に関連があった、と結論付けた。
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