この研究は、超低周波(ELF)磁界へのばく露を受けたヒト神経膠腫A172細胞のDNAでのアプリン/アピリミジン(AP)部位の数を測定した。実験に用いたELF磁界は5 mTである。細胞に、ELF磁界単独ばく露、遺伝毒性物質(メタンスルホン酸メチルMMSおよび過酸化水素H2O2)単独ばく露、または遺伝毒性物質とELF磁界の組み合わせばく露を与え、それぞれのばく露実験が終了した細胞からDNAを抽出し、AP部位の数を測定した。その結果、ELF磁界単独ばく露群と擬似ばく露対照群との間で、AP部位の数に差はなかった; MMSまたはH2O2の単独ばく露群では、APサイトの数は、処置時間が長くなるにつれて増加した;遺伝毒性物質とELF磁界との組み合わせばく露群では、遺伝毒性物質単独ばく露群に比べ、APサイトの数が増加した、と報告している。
ゲノムDNAにおけるアプリン/アピリミジン部位の数で遺伝毒性を推定した。DNAのアプリン/アピリミジン部位は一般的なDNA病変である。ヒトグリア芽腫細胞を超低周波磁界に単独ばく露、及び化学的変異原(メチルメタンスルホネートまたは過酸化水素)と共ばく露した。
適用した磁束密度5mTは、ICNIRPの参考レベルより10倍高い。
cells were treated in six groups: i) exposure to EMF ii) exposure to methyl methanesulfonate (MMS) iii) exposure to EMF + exposure to MMS iv) exposure to hydrogen peroxide (H2O2) v) exposure to EMF + exposure to H2O2 vi) sham exposure
周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuous for 2, 4, 8, 16 or 24 h |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | Helmholtz coil with an inner diameter of 250 mm, 160 mm long, with 128 turns, inside a CO2 incubator; incubator shielded on the inside with silicon steel and on the outside with Permalloy C |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 5 mT | effective value | - | - | - |
ばく露時間が2-24時間の超低周波磁界ばく露細胞では、偽ばく露細胞と比較して、細胞の生存率が有意に異なっていた。化学的変異原での処理は、細胞の生存率に時間依存性の低下を生じた。超低周波磁界との共ばく露は、化学的変異原での単独処理細胞における細胞の生存率との有意差を生じなかった。
ばく露細胞と偽ばく露細胞で、アプリン/アピリミジン部位の数に有意差は認められなかった。
変異原での単独処理は、処理時間が長いほど、アプリン/アピリミジン部位の数を増加させた。共ばく露(超低周波磁界+科学的変異原)は、化学的変異原単独と比較して、アプリン/アピリミジン部位のレベルを増加させた。
これらのデータは、化学的変異原のメチルメタンスルホネートまたは過酸化水素によって生じたアプリン/アピリミジン部位の数は、5mTの超低周波磁界ばく露によって強められることを示唆いている。
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