この研究は、ヒト神経膠腫細胞(MO54)に、予め電離放射線(2 Gy)照射を行なった場合、あるいは行わなかった場合について、磁界(60 Hz、5 mT)ばく露後の成長関連タンパク質43(GAP-43)の分布と発現を調べた。細胞質に存在し、核周囲に蓄積するGAP-43を、免疫細胞化学および逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を用いて測定した。その結果、磁界ばく露後に、GAP-43発現の増加が観察され、mRNAレベルではばく露の10時間後に、タンパク質レベルでは12時間後に、ピークが見られた; GAP-43のタンパク質レベルでの増加は、磁界ばく露から24時間以内に正常レベルに戻った;電離放射線によって誘発されるGAP-43発現の動態パターンは、磁界によって誘発されるパターンと非常に似ていた、と報告している。
エックス線照射(2Gy)の有無での磁界(60Hz、5mT)ばく露後の、ヒト神経膠腫細胞における「増殖関連タンパク質」-43(GAP-43)の局所的な細胞内分布と遺伝子発現をイン・ビトロで調査すること。
調査したGAP-43は、脳組織の細胞の発生と成長のマーカーと見なされている。
本研究で用いた5mTの磁束密度は、国際放射線防護学会/国際非電離放射線委員会(IRPA/INIRC)のガイドラインでの短期的な職業的全身ばく露(作業日あたり2時間)に対する最大許容値である。
実験を3回反復した。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
60 Hz
ばく露時間:
5, 10, 12 and 24 h
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周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | 5, 10, 12 and 24 h |
ばく露の発生源/構造 |
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チャンバの詳細 | CO2 incubator with a built-in magnet generator using two Helmholtz coils |
Additional information | cylindrical exposure space (14 cm height x 20 cm diameter) housing sixteen 10 or four 15 cm culture dishes; inside and outside of the incubator shielded by silicon steel and Permalloy C. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 5 mT | effective value | 測定値 | unspecified | - |
GAP-43は細胞質に存在し、核の周囲に蓄積する。
超低周波電磁界への5時間の細胞のばく露では、偽ばく露細胞と比較して、GAP-43のmRNAレベルが2.5倍増加した。共ばく露に誘発された転写レベルは、エックス線単独照射と比較して僅かに高かったが、磁界単独ばく露よりは低かった。エックス線照射細胞でのGAP-43のmRNAレベルの動態パターンは、磁界ばく露細胞と非常に似通っていた。
GAP-43タンパク質発現は、偽ばく露細胞と比較して、電磁界ばく露の12時間後には約2倍高く、24時間後には対照レベルに戻った。
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