この研究は、超低周波(ELF)電磁界へのばく露が細胞に影響を与えるか否かを、Ku80欠損細胞(xrs5)およびKu80相補細胞(CHO-K1)を用いて調べた。DNAの損傷修復のための結合に重要な役割を果たす分子Ku80を持つ細胞と持たない細胞である。xrs5細胞およびCHO-K1細胞に、60 Hz磁界またはX線をばく露して、細胞生存、アポトーシス関連遺伝子(p21、p53、ホスホ-p53)、カスパーゼ-3および抗アポトーシス遺伝子bcl-2のレベルを測定した。その結果、xrs5細胞およびCHO-K1細胞に60Hz磁界ばく露した場合、細胞生存、細胞周期分布およびタンパク質発現に影響はなかった;xrs5細胞に、X線(1 Gy)に続いて5時間の60Hz磁界ばく露した場合、X線で誘発されたG(1)細胞周期停止は有意に抑制され、bcl-2発現上昇が生じた;xrs5細胞に、X線(8 Gy)に続いて5 mTの60 Hz磁界ばく露した場合、p53、ホスホ-p53、カスパーゼ−3およびp21タンパク質の誘導の有意な低下が見られた;xrs5細胞に、X線照射に続いて10時間の60 Hz磁界ばく露した場合、X線誘発アポトーシスは約1.7 %から0.7 %へと有意に低下した;このような影響は、CHO-K1細胞では見られなかった、と報告している。
周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuously for 24 h |
ばく露の発生源/構造 |
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Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 5 mT | unspecified | - | unspecified | - |
参照 | - | - | - | - | pretreatment of cells with 0 - 8 Gray X-rays for 5 h |
周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuously for 5 h, 10 h, 24h |
ばく露の発生源/構造 |
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Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
Additional information | the experiment was performed a) only with EMF exposure b) with X-ray pretreatment of 1 Gray for 5 h |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 5 mT | unspecified | - | unspecified | - |
超低周波電磁界に単独ばく露したどちらの細胞株にも、細胞増殖、細胞周期、アポトーシス、タンパク質発現に影響はなかった。
エックス線照射後のxrs5細胞の5時間の電磁界ばく露は、エックス線誘発性のG1期を有意に阻害し、bcl-2発現を生じた。
エックス線照射(8Gy)後に電磁界にばく露したxrs5細胞には、p53タンパク質の発現、リン酸化p53、カスパーゼ-3、p21の有意な減少が認められた。
放射線照射後に電磁界に10時間ばく露したxrs5細胞には、エックス線誘発性のアポトーシスの有意な減少が認められた。但し、この影響はCHO-K1細胞には認められなかった。
照射後の60Hz超低周波電磁界へのxrs5細胞のばく露は、カスパーゼ-3、p21、p53及びリン酸化p53のレベル低下、ならびにbcl-2発現の増加により、細胞周期分布及びアポトーシスの一時的な抑制に影響し得る。
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