この研究は、50 Hz超低周波磁界(ELF MF:電力線および電気機器に起因する)と872 MHzまたは900 MHz高周波電磁界(RF:携帯電話とその基地局から放射される)が細胞オルニチン脱炭酸酵素活性、細胞周期動態、細胞増殖、および壊死またはアポトーシス細胞死に及ぼす影響を調べた。RFには、GSMパルス変調波(変調周波数217 Hz)または連続波(変調なし)の信号を用いた。細胞培養物へのMFまたはRFばく露用に特別に開発されたばく露システムを用い、電磁界ばく露レベルおよび細胞培養条件は正確に制御可能であった。共ばく露アプローチとして、細胞培養はMFまたはRFに加えて他のストレッサー(紫外線(UV)、血清欠乏、または新鮮な培地の添加)へのばく露も行われた。結果として、UV+磁界のばく露を受けた酵母細胞において、UVのみのばく露に比べ、細胞周期動態でのさまざまな遅延がみられた;磁界は、UV損傷による増殖の遅延からの酵母細胞の回復を遅らせる可能性がある;オルニチンデカルボキシラーゼ活性に対するRF単独ばく露の影響は明確ではなかったが、細胞タイプ特異性があるように見えた;培地交換により誘発された細胞増殖は、RFばく露によりわずかに増加した;それに加えて、GSM変調波は、酵母細胞のUV誘導アポトーシスを増加させた;これらの知見から、MFおよびRFは細胞増殖および細胞死のメカニズムに何らかの影響を与えるようであるが、単独ばく露の影響は非常に小さく、既知のストレッサーとの共ばく露の場合にのみ見られるようである、と報告している。
細胞のオルニチンデカルボキシラーゼ活性、細胞周期動態、細胞増殖、ならびにネクローシスまたはアポトーシス細胞死に対する、50Hzの超低周波磁界(電力線及び電気機器によって生じる)、ならびに872MHzまたは900MHzの無線周波電磁界(携帯電話及び基地局から発せられる)影響を調べること。
この調査は、異なる細胞培養装置に関する著者らの研究について、先行発表されたデータ(publication 10487 及び publication 6742 参照)及び未発表のデータを要約し、その結果を他の類似研究と比較するものである。
ばく露 | パラメータ |
---|---|
ばく露1:
900 MHz
Modulation type:
pulsed
ばく露時間:
continuous for 1 to 24 h
|
|
ばく露2:
900 MHz
Modulation type:
CW
ばく露時間:
continuous for 1 to 24 h
|
|
ばく露3:
872 MHz
Modulation type:
pulsed
ばく露時間:
continuous for 1 to 24 h
|
|
ばく露4:
872 MHz
Modulation type:
CW
ばく露時間:
continuous for 1 to 24 h
|
|
ばく露5:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 7 h
|
|
UV radiation, serum deprivation, or fresh medium addition were used as co-exposures.
周波数 | 900 MHz |
---|---|
タイプ |
|
特性 |
|
偏波 |
|
ばく露時間 | continuous for 1 to 24 h |
Modulation type | pulsed |
---|---|
Repetition frequency | 217 Hz |
Additional information |
GSM modulator |
ばく露の発生源/構造 | |
---|---|
チャンバの詳細 | The exposure chamber was an aluminium RF resonator with a plastic culture chamber and a water circulation heat exchanger positioned under a glass surface on which the cell culture dishes were placed. RF power was fed into the exposure chamber with a monopole post. Two identical chambers were used, one for EMF and one for sham exposure. Warm air (37°C) and CO2 (5%) were fed into the chambers from an incubator. |
ばく露装置の詳細 | Glass instead of plastic Petri dishes were used for better thermal contact. |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
Additional information | A temperature adjustment curve was used to keep the measured temperature of the cell culture medium constant (± 0.3°C) at SAR values up to 6 W/kg. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
SAR | 6 W/kg | maximum | 測定値および計算値 | - | 0.2-6 W/kg |
周波数 | 900 MHz |
---|---|
タイプ |
|
特性 |
|
偏波 |
|
ばく露時間 | continuous for 1 to 24 h |
Modulation type | CW |
---|
ばく露の発生源/構造 |
|
---|
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
SAR | 6 W/kg | maximum | 測定値および計算値 | - | 0.2-6 W/kg |
周波数 | 872 MHz |
---|---|
タイプ |
|
特性 |
|
偏波 |
|
ばく露時間 | continuous for 1 to 24 h |
Modulation type | pulsed |
---|---|
Repetition frequency | 217 Hz |
Additional information |
GSM modulator |
ばく露の発生源/構造 |
|
---|
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
SAR | 6 W/kg | maximum | 測定値および計算値 | - | 0.2-6 W/kg |
周波数 | 872 MHz |
---|---|
タイプ |
|
特性 |
|
偏波 |
|
ばく露時間 | continuous for 1 to 24 h |
Modulation type | CW |
---|
ばく露の発生源/構造 |
|
---|
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
SAR | 6 W/kg | maximum | 測定値および計算値 | - | 0.2-6 W/kg |
周波数 | 50 Hz |
---|---|
タイプ |
|
波形 |
|
ばく露時間 | continuous for 7 h |
ばく露の発生源/構造 |
|
---|---|
チャンバの詳細 | wooden exposure system [Markkanen et al., 2001] |
Additional information | Cells were irradiated by UVB for 10 min at a dose of 175 J/m² and a dose rate of 0.292 J/m² per second during the MF exposure which continued to the end of the experiment. This exposure setup was also used to expose cells to UV radiation in UV + RF experiments. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
磁束密度 | 120 µT | - | - | - | ± 5 µT |
細胞周期動態についてのデータは、UV単独ばく露した酵母細胞と比較して、「UV+磁界」にばく露した酵母細胞では、遅延時間が異なることを示唆している。磁界ばく露はUV損傷による成長の遅れからの酵母細胞の回復を遅らせるかも知れない。
オルニチンデカルボキシラーゼ活性に対する無線周波ばく露単独での明白な影響はなかったが、細胞型による特異性がありそうであった。
培地交換による細胞増殖は、無線周波照射によって僅かに増加した。加えて、GSM変調の無線周波は、酵母細胞におけるUVによるアポトーシスを増加させた(この影響は変調に固有なようであった)。
結論として、磁界及び無線周波界には、細胞成長及び細胞死のメカニズムに対する何らかの影響がありそうである。これらの影響は、細胞を既知の損傷因子と共ばく露した場合にのみ明らかになる。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。