研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[磁界ばく露はイン・ビトロでラットの小脳顆粒ニューロンをアポトーシスから保護する] med./bio.

Magnetic field exposure saves rat cerebellar granule neurons from apoptosis in vitro

掲載誌: Neurosci Lett 2004; 365 (2): 83-86

この研究は、ニューロンアポトーシスに対する超低周波磁界(ELF MFばく露の影響を調べた。実験には、出生後のラットから摘出された小脳顆粒ニューロン(CGN)を用いた。このニューロンは、インビトロの通常環境(5.4mM K(+))下でアポトーシスに至ることが知られている。結果として、このニューロンに50Hz回転磁界磁束密度300 mT)ばく露を5日間与えると、未成熟CGNがアポトーシスから救われ、生存が促進された;擬似ばく露磁界なし)ではニューロンの生存はほとんど観察されなかった; ELF-MFによる生存促進効果は、培養フラスコのサイズに依存して生じたことから、誘導電流がこの現象に関与していることが示唆された;最大の生存促進効果は膜脱分極(25mM K(+))のそれに匹敵し、脳由来神経栄養因子BDNF)のそれよりも大きかった、と報告している。

研究目的(著者による)

超低周波磁界ばく露ニューロンアポトーシスに及ぼす影響を調べること。

詳細情報

イン・ビトロで通常の条件下でアポトーシスを生じることが知られている、出生後のラット小脳顆粒ニューロンを用いた。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 5 days
ばく露2: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 5 days
ばく露3: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 5 days
  • 電流密度: 4.2 A/m² maximum (2.6 A/m² (minimum value) induced in 150 cm² flask)
  • 磁束密度: 300 mT unspecified

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 5 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • 詳細不明
チャンバの詳細 Two chambers, one for exposure and the other for sham exposure maintained at 37°C
ばく露装置の詳細 25 cm² plastic culture flasks were placed in the center of the chamber
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 300 mT unspecified 指定なし - -
電流密度 1.6 A/m² maximum 計算値 - 1.0 A/m² (minimum value) induced in 25 cm² flask

ばく露2

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 5 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • 詳細不明
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
電流密度 2.8 A/m² maximum 計算値 - 2.0 A/m² (minimum value) induced in 75 cm² flask
磁束密度 300 mT unspecified 指定なし - -

ばく露3

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 continuous for 5 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • 詳細不明
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
電流密度 4.2 A/m² maximum 計算値 - 2.6 A/m² (minimum value) induced in 150 cm² flask
磁束密度 300 mT unspecified 指定なし - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露中
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

回転する超低周波磁界への5日間のばく露は、300mTの磁束密度で未熟な小脳顆粒ニューロンアポトーシスから保護し、生存を促進したが、偽ばく露ではニューロンの生存は認められなかった。超低周波磁界の生存促進作用は、培養フラスコのサイズに依存して生じ、このことは、誘導電流がこの現象において役割を果たしていることを示している。

これらのデータは、超低周波磁界ニューロンの死及び/または生存を操作するための潜在的ツールとして使えるかも知れないことを含意している。

研究の種別:

研究助成

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