この研究は、実験モデルに再生中のアメリカツノウズムシ(Dugesia dorotocethala:プラナリアの一種)を用い、変調された超低周波電磁界(ELF-EMF)の断続的ばく露が、熱ショックタンパク質hsp70のレベルを上昇させ、損傷と修復に関与する細胞内経路を刺激するか否かを調べた。特に、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)カスケードを介した血清応答エレメント(SRE)の結合に焦点を当てた。プラナリアは、頭の先端と尾の先端の中点で等長に切断された。同一個体のプラナリアの頭側部分と尾側部分は個別に、ヘルムホルツコイル装置を用いて注意深く制御されたばく露条件下で、切除後15日間、60 Hz、80 mGのELF-EMFの1時間ばく露を1日2回受けた。その間、3日間隔で、再生中の頭と尾を写真に撮り、長さを測定した。また、ELF-EMFばく露群および擬似ばく露群で、切断後から12時間間隔で、尾側部分での色素性眼の出現のタイミングを監視した。また、実験に用いたプラナリアのタンパク質溶解物において、hsp70レベル、二重リン酸化ERK、Elk-1キナーゼ活性、および血清応答因子(SRF)- SRE結合を分析した。その結果、切断後最初の3日間のELF-EMFばく露により、頭側と尾側の部分の両方における再生は有意に増加し、特に尾側で顕著であった;尾側の部分での眼の最初の出現は、ELF-EMFばく露群では切除後7日目、擬似ばく露群ではそれより48時間遅かった;同時に、ELF-EMFばく露を受けた頭側と尾側の部分では、hsp70タンパク質のレベルの上昇、ERKカスケードの活性化、およびSRF-SRE結合の増加が示された、と報告している。
プラナリアは、間欠的な変調超低周波電磁界が熱ショックタンパク質Hsp70のレベルを高め、傷害及び修復に関与することが知られてる細胞内経路を刺激するかどうかを判定するためのモデル生物として用いられている。
周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | 1 h twice daily for 15 days |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | 22 cm x 24 cm Helmholtz coils with a spacing of 10.5 cm, consisting of 164 turns of 19 G Copper wire bundles on a Plexiglas form; samples placed on a Plexiglas stand between the coils; coils enclosed in a 30 cm high, 0.04 inch thick cylindrical mu metal container with a diamter of 15 cm, placed inside an incubator |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
術後の最初の3日間の超低周波電磁界ばく露は、頭部及び尾部、特に尾部での再生の有意な増加を生じた。最初の眼の出現は、切断後7日目にばく露した尾部に発生した。偽ばく露対照群の尾部サンプルでは、最初の眼の出現は48時間遅れて発生した。同時に、ばく露した頭部及び尾部では、Hsp70タンパク質のレベル上昇、ERKカスケードの活性化、SRF-SRE結合の増加が見られた。
結論として、このデータは、超低周波電磁界へのばく露はプラナリアの再生を促進する。この影響は、シャペロンタンパク質Hsp70のレベル上昇、ERKカスケード及び下流の転写因子の活性化を伴っていた。
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