<目的>生殖に対する磁界影響の研究は少ない上に一致した結果が得られていない。従って、正弦波と鋸歯状磁界を同時に実験し、ラット胎仔への影響を比較することを目的とする。 <方法>Han:Wister系SPFラット10-13週齢(平均体重211g)雄1に対して雌3を交配させた室温21±1℃、60±7%RH、暗期はdim light点灯、 鋸歯状磁界は20kppsの周波数、15μTp-p(12A/m)の磁束密度、立上がりは5μs、立下がりは45μsの波形、正弦波磁界は50Hz、磁束密度は時間平均で12.6μT(10A/m)、これに対しp-p値は35.6μT(28.3A/m)、いづれも矩形コイル(0.4mx1.2m)で発生した垂直方向の磁界、正弦波、鋸歯状及びシャムばく露の3つのばく露システムにそれぞれ4つのケージを入れた。1ケージ当たり3匹 で実験は6回繰返されたのでそれぞれの群は72匹となった。妊娠20日間は連続で毎日の観察と毎週の体重摂餌量計測が行われた。 <結果>①妊娠中の異常、摂餌量には差はなかったが、50Hzばく露群で母獣体重が有意に大きく、胎仔を含む子宮重量増加に基づくものであった(表1)。②受胎率、黄体数性比、着床前後の消失等には有意差はなく、50Hz群では着床数と一腹当たりの産仔数は有意に大きかった(表2)。胎仔の骨格異常(軽度の奇形と異常)はどちらの磁界ばく露でも対照群より有意に多くなった。鋸歯上磁界では変形が多く、50Hz磁界では軽度の奇形が多かった(表3)。磁界は着床と骨形成に僅かな影響を与えると示唆。