この研究は、低周波磁界(50 Hz、8 mT)への出生前および出生後のばく露がラットのセルトリ細胞の発達に与える影響を調べた。妊娠した40匹のラットをばく露群(30匹)と対照群(10匹)に割り当てた。ばく露群は3週間の低周波磁界ばく露を受けた(その後に出生する仔ラットは子宮内ばく露を受けたことになる)。両群から出生した新生仔からそれぞれ30匹の雄の仔ラットが選択され、ばく露群から選択された仔ラット群は生後5週間まで低周波磁界ばく露を受けた。ばく露終了後、それぞれの群から15匹を選び(E1群、C1群)、屠殺して検査を行った。残り(E2群、C2群)はさらに8週間無ばく露に保った後に屠殺して検査を行った。精巣のセルトリ細胞と精原細胞の発達を調べる検査として、ヘマトキシリン-エオシン染色による光学顕微鏡法およびトルイジンブルー染色による電子顕微鏡法を実施した。その結果、E1群において、正常なセルトリ細胞構造の破壊を示すいくつかの兆候として、細胞核の凝縮、クリステ(ミトコンドリアの内側の薄膜などにある隆起部分)・封入体・リソソームの失われたミトコンドリアの存在、細胞質内の多数の液胞などが見られた;また、E1群において、セルトリ細胞間の接合部が破壊されていた;E2群では、ばく露を中止した後にセルトリ細胞と精原細胞に回復の兆候が見られ、細胞間の空隙が消失した;C1群とC2群での観察に差はなかった、と報告している。
妊娠したラット40匹から30匹を選択し、電磁界に3週間ばく露(子宮内ばく露)し、10匹を対照群とした。
両群の出産後、雄の仔ラット各30匹を生後5週目までばく露した。ばく露後、実験群(EG1)及び対照群(CG1)の両群から各15匹を屠殺した。残り(EG2、CG2)を8週間非ばく露した後に屠殺した。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 3 week in utero + 5 weeks after birth
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実験群1では、正常なセルトリ細胞の構造の崩壊についての複数の特徴:細胞核の凝縮、クリステのないミトコンドリアの存在、封入体、細胞質中のリソソームと多くの液胞が示された。セルトリ細胞間のジャンクションは崩壊した。実験群2では、ばく露撤回後のセルトリ細胞及び精原細胞の回復の兆候が見られた。細胞間の空隙は消失した。
対照群2での観察結果には、対照群1との差はなかった。
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