【背景】小児における携帯電話使用の健康影響の可能性は、十分に調査されていない。小児は低年齢で携帯電話を使用しているので、各国および国際的組織は、このような小児の調査を最も優先度の高いものと認めている。著者らは、デンマーク全国出生コホート(DNBC)から得た結果を以前に報告した。そこでは、携帯電話への出生前および出生後のばく露と7歳児の行動面の問題を調べた。出生前のばく露は行動面の困難度が高いこととの関連が見られ、出生後のばく露もそれより弱い関連が見られた。このオリジナルの分析には、2006年11月までに7歳になる13000人の小児が含まれた。【方法】DNBCの小児から取り出した、さらに大きな別のグループが、追加的な交絡因子を考慮した後に、同様の結果をもたらすか否かを見るために、現在の携帯電話使用者をより良く代表すると思われる母親の子供達を分析した。この新規データセットは、2008年12月までに7歳児用質問紙への回答記入を終えた28745人の小児から成った。【結果】行動面の問題に関するORは、出生前および後のどちらの期間にも携帯電話へのばく露がなかった小児グループを参照グループとした、両方の期間にばく露があった小児のグループで最も高く、調整後の推定値は1.5(95%信頼区間1.4 -1.7)であった。【結論】以前の論文での知見が今回の別の参加者グループにおいても再現され、携帯電話使用と7歳児の行動面での問題とに関連が見られること、および、この関連は携帯電話技術の初期の使用者に限ったことではないことが示された。新規データセットでの方が関連は弱かったが、拡大されたセットに対して潜在的交絡因子を制御してもなお、関連性は依然として見られた。
デンマーク全国出生コホートの新たなグル―プの子ども(1998-2002年生まれ)を、Divan他(2008)による論文の「当初の」グループ(1997-1999年生まれ)と比較して分析し、更に両グループを組合せて分析した。新たなグループの子どもでは、更なる交絡因子を検討した:母親及び父親が子どもの頃の精神医学的、認知及び行動学的問題、妊娠期間、母親の出生前のストレス、子どもの生後6か月までの母乳育児。
25項目の質問を含むStrengths and Difficulties Questionnaireを用いて7歳児の行動学的問題を評価した。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | ばく露なし |
集団 2 | 出生前のばく露 |
集団 3 | 出生後のばく露 |
集団 4 | 出生前及び出生後のばく露 |
タイプ | 値 |
---|---|
適格者 | 28,745 |
当初のグループは12796人の子どもで構成
当初のグループの子どもの30.5%、新たなグループの子どもの35.2%が、7歳の時点で携帯電話を使用していたが、週1時間を超えて使用していたのは1%未満であった。約93%の子どもは行動学的問題の記録がなく、3.3%はボーダーラインと見なされ、当初のグループの2.9%、新たなグループの3.1%に行動学的問題があった。
この結果は、幼児の携帯電話使用と行動学的問題との正の関連を示した。行動学的問題についての最も高いオッズ比は、出生前と出生後のどちらの期間にも携帯電話にばく露されなかった子どもと比較して、両方の期間にばく露された子どもについてであった(OR 1.5、CI 1.4-1.7)。
Divan他(2008)による先行研究の知見は、参加者の個別のグループにおいて再現され、携帯電話使用が子どもの7歳の時点での行動学的問題と関連していることが示された。
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