この研究は、携帯電話使用と耳鳴りリスクの関連を調べた症例対照研究である。耳鳴りの症状が継続している症例100人を同定し、外来患者から性、年齢を個体マッチングした対照を無作為に抽出した。症例の病歴、臨床検査により、耳鳴りの既知の病因を有する患者は除外した。携帯電話使用については、インターフォン研究プロトコルに基づいて評価した。教育年数と都市居住を共変量とし、条件付きロジスティック回帰分析によりORを算出した。その結果、耳鳴りと同側で基準日(耳鳴りの発症日)まで携帯電話使用していた症例群では、規則的使用および累積使用時間についてORは有意に上昇しなかった;携帯電話使用期間が長い場合(4年以上)に、リスク推定値が有意に上昇した(OR = 1.95; 95%CI: 1.00~3.80)、と報告している。
携帯電話のエネルギーは主に、通話時に携帯電話を保持する側の頭部に吸収される。ゆえに、携帯電話使用の側性、即ち、携帯電話を保持する側(同側)、あるいは逆側(反対側)の頭部で後に耳鳴りが生じたかを調査した。携帯電話を一方の側のみで使用していた参加者は少数であったため、各参加者の使用を同側と反対側の分数に分けた。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 携帯電話使用、同側:なし |
集団 2 | 携帯電話使用、同側:あり |
参照集団 3 | 携帯電話使用、反対側:なし |
集団 4 | 携帯電話使用、反対側:あり |
参照集団 5 | 携帯電話使用、全体:なし |
集団 6 | 携帯電話使用、全体:あり |
集団 7 | アナログ携帯電話の使用期間、同側: < 10分/日 |
集団 8 | アナログ携帯電話の使用期間、同側: ≥ 10分/日 |
集団 9 | アナログ携帯電話の使用期間、反対側: < 10分/日 |
集団 10 | アナログ携帯電話の使用期間、反対側: ≥ 10分/日 |
集団 11 | アナログ携帯電話の使用期間、全体: < 10分/日 |
集団 12 | アナログ携帯電話の使用期間、全体: ≥ 10分/日 |
集団 13 | 携帯電話の累積使用時間、同側: < 160時間 |
集団 14 | 携帯電話の累積使用時間、同側: ≥ 160時間 |
集団 15 | 携帯電話の累積使用時間、反対側: < 160時間 |
集団 16 | 携帯電話の累積使用時間、反対側: ≥ 160時間 |
集団 17 | 携帯電話の累積使用時間、全体: < 160時間 |
集団 18 | 携帯電話の累積使用時間、全体: ≥ 160時間 |
集団 19 | 携帯電話の累積通話件数、同側: < 4000 |
集団 20 | 携帯電話の累積通話件数、同側: ≥ 4000 |
集団 21 | 携帯電話の累積通話件数、反対側: < 4000 |
集団 22 | 携帯電話の累積通話件数、反対側: ≥ 4000 |
集団 23 | 携帯電話の累積通話件数、全体: < 4000 |
集団 24 | 携帯電話の累積通話件数、全体: ≥ 4000 |
集団 25 | 携帯電話使用、同側:経験なし、または < 1年 |
集団 26 | 携帯電話使用、同側:1 - 3年 |
集団 27 | 携帯電話使用、同側: ≥ 4年 |
集団 28 | 携帯電話使用、反対側:経験なし、または < 1年 |
集団 29 | 携帯電話使用、反対側:1 - 3年 |
集団 30 | 携帯電話使用、反対側: ≥ 4年 |
集団 31 | 携帯電話使用、全体:経験なし、または < 1年 |
集団 32 | 携帯電話使用、全体:1 - 3年 |
集団 33 | 携帯電話使用、全体: ≥ 4年 |
症例 | 対照 | |
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参加者 | 100 | 100 |
全体として、4年以上の同側使用のサブグループ(OR 1.95;CI 1.00-3.80)以外には、携帯電話使用と耳鳴りについての統計的に有意なリスク上昇は認められなかった。著者らは、高強度及び長期間の携帯電話使用は耳鳴りと関連しているかも知れない、と結論付けた。
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