電磁界(EMFばくばく露に関連するとする症状を訴える人の数がここ数年、急激に増加している。学生は携帯電話やビデオディスプレイ端末を頻繁に使用する。本研究は、携帯電話使用とEMF健康ハザードとの関連を調査する目的で行われた。Rafsanjan University of Medical Scisence(RUMS)とVali-e-Asr University(VAU)の外見上健康な学生全員に対して実施された質問表により、基本的な人口学的特性および自己報告の症状が得られた。年齢、性別、ビデオディスプレイ端末での作業量など、いくつかの主要な交絡因子についても質問された。Fisherの直接確率検定がデータ分析に用いられた。自己報告の症状では、頭痛(53.5%) 、疲労感(35.6%) 、集中困難(32.5%) 、目眩(30.4%) 、注意散漫(28.8%)、イラ立ちやすさ(28.1%)、動悸(14.7%)、腰痛(14.3%)、筋肉痛(12.4%)、耳鳴り(9.9%)が主なものだった。これらの症状の有症率は、CRT使用者と不使用者との間で大きな違いはなかった。コードレスホン使用と集中困難(P<0.05)または注意散漫(P<0.05) との間に有意な関連が見られた。しかし、性別を調整後、これらの違いは有意でなくなった。携帯電話使用と上記の症状に関連は見られなかった。携帯電話、ビデオディスプレイ端末、コードレスホンを多く使用する人は、そうでない人に比べ、自己報告症状の有症率が有意に高いことはなかった。今回の結果と、EMFばく露と自己報告の主観的症状の有症率との関連を示したいくつかの先進国における研究者の研究結果との違いは、開発途上国はEMFばく露によるハザードの可能性に対するマスメディアの関心が欠如していることにより説明されるかも知れない。今回の結果は、電磁過敏症における心理的な要因の役割を示唆した誘発研究で得られた結果を裏付けるかもしれない。日常のEMF環境が健康問題の原因となるか否かを明確にするためにはさらなる研究が必要である。
携帯電話の非ユーザーは、携帯電話を所持していなかった、または過去3か月間に1日当たり平均で30秒未満しか使用していなかった学生と定義した。ブラウン管モニタを過去3か月間に1日当たり1分未満しか使用していなかった学生は非ユーザーと見なした。
グループ | 説明 |
---|---|
集団 1 | ブラウン管モニタのユーザー |
集団 2 | コードレス電話のユーザー |
集団 3 | 携帯電話のユーザー |
タイプ | 値 |
---|---|
合計 | 690 |
参加者 | 518 |
参加率 | 75 % |
30%の学生が携帯電話、36%がコードレス電話、56%がブラウン管モニタのユーザーであった。自己申告の症状のうち、頭痛が最も頻度の高い愁訴(53.5%)であった。
自覚症状と携帯電話、コードレス電話またはブラウン管モニタの使用との関連は認められなかった。著者らは、電磁界の健康影響についての発展途上国のマスメディアの関心の低さが、本研究の結果と幾つかの先進国での他の研究との違いを説明し得る、と結論付けている。
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