この研究は、聴覚機能に対するGSM携帯電話電磁界の慢性ばく露の影響を調べた後ろ向き、横断的、無作為化症例対照研究である。長期携帯電話使用者(1年超)群112人と携帯電話を使用したことのない対照群50人について、純音聴力検査(会話と高周波の両方)、鼓膜聴力検査、歪成分耳音響放射、聴性脳幹反応、中間潜時反応を含む一連の聴覚学的検査実施した。その結果、両群の聴覚学的パラメータに有意な差は見られなかった;一方、使用者群で聴覚学的異常の傾向が見られた、などの所見を報告している。
全ての参加者は、以下が含まれる聴覚に関する複数の調査を受けた:純音聴力検査、音声識別スコア、言語受容閾値、インピーダンス聴力検査、歪成分耳音響放射(DPOAE)、聴性脳幹反応(ABR)、中間潜時反応検査。
グループ | 説明 |
---|---|
参照集団 1 | 対照群:携帯電話の使用経験なし |
集団 2 | 携帯電話の使用期間: 1 - 2年、 < 60分/日 |
集団 3 | 携帯電話の使用期間: 1 - 2年、 ≥ 60分/日 |
集団 4 | 携帯電話の使用期間: 2 - 4年、 < 60分/日 |
集団 5 | 携帯電話の使用期間: 2 - 4年、 ≥ 60分/日 |
集団 6 | 携帯電話の使用期間: >4年、 < 60分/日 |
集団 7 | 携帯電話の使用期間: >4年、 ≥ 60分/日 |
参照集団 8 | 対照群:携帯電話の使用経験なし: ≤ 30歳 |
集団 9 | 携帯電話ユーザー: ≤ 30歳 |
参照集団 10 | 対照群:携帯電話の使用経験なし: > 30歳 |
集団 11 | 携帯電話ユーザー: > 30歳 |
タイプ | 値 |
---|---|
合計 | 162 |
携帯電話のユーザーと非ユーザーでは、聴覚に関するいずれのパラメータについても有意差はなかった。但し、ユーザーでは聴覚の攪乱についての傾向が認められた。年齢が30歳超、4年以上及び1日あたり60分超の携帯電話使用、耳鳴りまたは携帯電話使用時の耳の温感の存在が、リスク要因である可能性があった。著者らは、長期的、集中的な携帯電話使用は内耳損傷を生じるかも知れない、と結論付けた。
決定的な結論に達するには大きなサンプルサイズが必要なので、この結果は慎重に解釈すべきである。
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