この研究は、ラットを用いた実験で、50 Hz電磁界(ELF-EMF)ばく露の長期的影響を、特に慢性ストレスおよびストレス誘発性精神病態発症に焦点を当てて調べた。成獣のオスのSprague-Dawleyラットに、ELF-EMF(50 Hz、0.5 mT)の短期ばく露(5日間、毎日8時間)または長期ばく露(4 - 6週間、毎日24時間)を与えた。不安は高架式十字迷路試験で、長期ばく露群での抑うつ様行動は強制水泳試験で検査した。行動検査の数日後、動物を安静状態で断頭し、臓器重量、血中ホルモンレベル、ならびに下垂体前葉からのプロオピオメラノコルチンmRNAレベルを測定した。その結果、どちらのばく露も体細胞パラメータへの影響は与えなかった;つまり、慢性ストレスに特徴的な変化(体重減少、胸腺退縮、副腎肥大)は何一つ現れなかった;ELF-EMFへの長期ばく露後に血糖値の有意な上昇が見られた;ホルモンストレス反応は、対照群と短期ばく露群で同等であったが、長期ばく露群では、プロオピオメラノコルチンの有意な上昇および抑うつ様行動(浮遊時間の有意な増加)が見られた;総括すると、比較的高強度の電磁界への長期の連続的ばく露は軽度のストレス状況とみなせるかも知れず、抑うつ状態または代謝障害の発症の一つの要因となる可能性がある、と報告している。
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 8 hr/day on 5 days |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | Two Helmholtz coils with a radius of 21 cm and 240 turns of 1.4 mm glaze-insulated copper wire, 21 cm apart; 35 cm x 35 cm x 17 cm plastic box with the rats placed between the coils |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 24 hr/day during 6 weeks |
ばく露の発生源/構造 |
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Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
どちらのばく露条件も、体細胞のパラメータに影響しなかった。つまり、慢性的なストレスに対する特徴の変化(体重減少、胸腺退縮及び副腎の肥大)はなかった。
このデータは、短期的な、反復的な超低周波電磁界は、ラットで調べたパラメータに関する慢性的なストレスの兆候、または不安様行動の症状を生じなかった。
連続的な長期ばく露後、グルコースの血液レベルの上昇、下垂体前葉でのPOMC mRNAレベルの上昇、抑うつ様行動に対する感受性の増強が検出された。
結論として、比較的高い強度の電磁界(ヒトのばく露の平均的な強度は通常、今回の実験の強度よりも遥かに低い)への長期的、連続的なばく露は、穏やかなストレス刺激としてカウントされるかも知れず、抑うつ状態の進行または代謝障害の一要因となり得る。
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