研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[成獣ラットにおける超低周波磁界ばく露の不安惹起作用] med./bio.

Anxiogenic effect of chronic exposure to extremely low frequency magnetic field in adult rats

掲載誌: Neurosci Lett 2008; 434 (1): 12-17

この研究は、毎日、さまざまな持続時間で反復的に受ける超低周波磁界(ELF MFばく露不安レベルに影響を与えるか否かを、ラット実験で調べた。成獣のSDラットに、1時間/日または4時間/日のMFばく露または無ばく露を25日間与えた。不安関連行動の検査は、オープンフィールドテスト(OFT)、高架式十字迷路(EPM)テスト、および明暗箱テストを用いて、それぞればく露の21、23、25日目に行った。その結果、4時間/日のMFばく露は、自発運動を変化させることなく、オープンフィールドテストと高架式十字迷路テストでの不安行動を増加させたが、明暗箱テストには影響が見られなかった;1時間/日のMFばく露は、どのテストでも影響が見られなかった、と報告している。

研究目的(著者による)

本研究は、持続時間が異なる超低周波磁界への反復ばく露ラット不安行動に影響を及ぼし得るかどうかを調査するために実施した。

詳細情報

30匹の雄ラットを用いた。ばく露の21、23、25日目の朝に行動学的変化を調べた。
5分間の観察中に、オープンフィールド試験、高架十字型迷路、明/暗箱で、ラット不安関連行動を調べた。オープンフィールドは黒い円環状の領域(直径160cm、高さ50cm)で、床に2つの同心円がある。高架十字型迷路は、2つの向かいあう腕で構成され、中心側が開き、反対側が閉じている。不安を避けるため、ラットはオープンフィールドでは側壁、高架十字型迷路では閉じた腕に留まりがちである。グルーミングは、試験中の新たな環境条件による不安レベルの上昇に対するストレスへの対抗行動と解釈される。明/暗箱は、開口部でつながった2つの同じ大きさの箱で構成される。暗箱内には感知できる照明はない。明箱は白く、100luxのレベルの照明がある。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: 1 h/day or 4 h/day for 25 days

General information

animals were treated in three groups: i) no exposure ii) exposure for 1 h/day iii) exposure for 4 h/day

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
波形
  • sinusoidal
ばく露時間 1 h/day or 4 h/day for 25 days
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 pair of Helmholtz coils with a diameter of 80 cm, 40 cm apart; rats placed in the center of the coils system
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 2 mT - - - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

4時間/日の磁界ばく露は、オープンフィールド試験及び高架十字型迷路でのラット不安行動を増加させた(内側よりも外側の円環で費やす時間の増加、グルーミングの増加、開けた腕及び中心部で費やす時間の減少、閉じた腕で費やす時間の増加)。明/暗箱試験では影響は観察されなかった。更に、1時間/日の磁界ばく露は、いずれの試験でも影響を及ぼさなかった。
これらの知見は、超低周波磁界への慢性ばく露ラット不安惹起作用を及ぼし、これは毎日のばく露時間に依存し、強い光よりも空間に対してより敏感である、ということを示唆している。

研究の種別:

研究助成

関連論文