<目的> 送電線の電磁界と住民の神経行動学的影響について行われた疫学研究や動物実験などの結果を知り、米国のある州の新規計画送電線沿線住民の設置反対運動が起こされた。この住民の疑問、不安に答えるため、既設送電線周辺での調査を行うこととなった。 <方法> 対象者は230及び345kV送電線周辺の8つの町から電話帳で任意に705名の成人を選択し、線下敷地に隣接した住民205名及び送電線新設反対運動参加の249名の住民を加えた。これらの各家庭から1名を追加した。これら3群からコンピュータで選出されたそれぞれの町の代表的な地域分布を382名についてインタビューを実施した。参加者は69%であった。インタビューに際しては研究の目的を知られないように配慮し、送電線との近接度は敷地が隣接しているか、鉄塔が住宅や庭から見える位置かどうかで判定。 <結果> ①21名が1つ以上の抑うつ症状を有した。この結果、抑うつと送電線近接度とは有意な相関が見られた OR 2.7 (CL:1.6-4.6)。標準化 OR 2.6(CL:1.6-4.4)。②送電線に対する積極的な関心を示した60名を除外し、再び解析した結果でも有意な相関が見られた OR 2.0(CL:1.2-3.3)。③偏頭痛と送電線への近接度との間には有意な関連は見られなかった。
抑うつ症状についての方法は、疫学研究‐抑うつ尺度として知られる、症状または気分を記述する18項目(集中困難、泣き止まない、将来についての希望)及びそれらの経験の直近7日間の頻度を含むインタビュー・スケジュールから取得した。全国保健インタビュー調査から、頭痛についての二つの質問(直近7日間の偏頭痛またはその他の種類の頭痛)を採用した。
グループ | 説明 |
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参照集団 1 | 電力線用地への近接度:遠い |
集団 2 | 近くの住居:土地が用地に接している、またはそこから電力線タワーが見える |
タイプ | 値 |
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参加者 | 382 |
抑うつ症状の有病率と、電力線用地への住居の近接度との関連が認められた(OR 2.8、CI 1.6-5.1)。偏頭痛でない頭痛は、電力線への近接度とのより弱い関連を示し(OR 1.5、Cl 0.8-2.8)、偏頭痛は関連を示さなかった(OR 0.99、Cl 0.3-3.4)。
電力線への住居の近接度の極めて粗末な測定が用いられた。
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