<目的>ストレス蛋白は最初に熱ストレスによって誘導されることが見いだされたことから熱ショック蛋白(hsps)とも呼ばれる。その後熱(42℃、45℃)以外にもアミノ酸、酸素欠乏、活性酸素などによっても誘導されることが明らかにされている。イン・ビボでの研究で予め熱を与えておくと冠動脈遮断再循環後の快復が改善されることが報告されている―直接加熱後のhspsレベルは心筋細胞の保護に相関する。ストレス蛋白が心筋保護に役割を果たすことと、電磁界がイン・ビトロでストレス蛋白を誘導すること(Goodmanの文献を引用!)から電磁界はイン・ビボで酸素欠乏の障害から心筋を保護するのではないかと考えた。 <対象・方法>白色レグホン種96時間孵化した胎児を用いた。第一の実験では60Hz、4、6、8、10μT、20分間ばく露。第二の実験では(1)コントロール、(2)43℃熱、(3)60Hz、8μTプラス ランダム磁界ノイズ8μT、20分間。これら処置の後1時間37.8℃に保った後プラスチックバッグに入れ空気を抜いてアルゴンガスを充した。<40%のコントロール胎児の心臓が動いている(生き残っている)時にバッグを開けて酸素を再注入した。この時のばく露群の生存数(率)を求めた。 <結果及び結論>(1)無酸素による対照群の生存率は39.6%で、電磁界ばく露により68.7%と上昇した。(2)対照群の生存率は37.7%であるが、高温ばく露により57.6%となり、電磁界ばく露により69%と上昇する。しかしノイズを加えるとその効果がなくなり41.5%となった。電磁界ばく露によりストレス反応を惹起し、無酸素状態によるヒヨコ胎児の心筋障害を保護する効果がある。
電磁界ばく露は熱ショックタンパク質を生じるかも知れず、これらのタンパク質は特に虚血からの回復において重要な役割を担っていることが示されている。ゆえに、電磁界ばく露はストレス応答をイン・ビボで活性化させ、心臓組織を無酸素症から防護し得るという仮説が提唱されている。
First series of experiments
得られたデータは、電磁界(60Hz、2-10µT、20分間)による防護が極めて有意であることを示している。生存率は、ばく露群で68.7%、対照群で39.6%であった。
2セット目の実験では、20分間のばく露の前に胚を複数の条件(例:a) 43℃のハイパーサーミア;b) 60Hz、8µT、ノイズなし;60Hz、8µT+ランダムノイズ)で前処理した。胚の生存率は、対照群で37.7%、熱処理群で57.6%、60Hz単独ばく露群で69%、60Hz+ノイズばく露群で41.5%であった。
著者らは、非熱的な電磁界ばく露が、ニワトリ胚の心筋を無酸素損傷から防護するストレス応答を誘導する、と結論付けている。
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