研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[正弦波超低周波磁界はUV誘導死からニワトリ胚を保護する] med./bio.

Sine Wave Extremely Low Frequency Magnetic Fields Protect Chick Embryos Against UV-Induced Death

掲載誌: Electromagn Biol Med 2004; 23 (2): 113-124

この研究は、4日齢のニワトリ胚を用いて、紫外線UV)の致死的効果が超低周波(ELF)磁界MFばく露によって防御されるか否かを調べた。UVばく露(75分間、主にUV-C、0.4 mW/ cm2)の前にELF-MFばく露を行なった。その結果、ELF-MFの擬似ばく露を与えた胚にUVばく露を与えると、ばく露後3時間での生存率心拍で判定した)は20 %であった;それとは対照的に、50 Hz(10、50、または100 μT)または60 Hz(10 µT)の垂直MFばく露を与えた胚では、UVばく露のわずか30分後に、生存率有意な上昇が観察された;これらのばく露強度の間に防御レベルの差はなかった;違いは見られなかった;水平MF(50 Hz;10、50、または100 µT)の場合、垂直MFで観察されたようなUVによる死に対する防御はもたらされなかった;このことは、(水平ばく露と垂直ばく露で異なる)誘導電界のサイズがMFによる防御効果において重要なことを示唆する;この効果に関与する分子メカニズムを調べるために、hsp70の誘導型に対する抗体を用いた免疫ブロッティング実験を行ない、MFばく露(50 Hz、200 µT、1時間)がヒトK562細胞にhsp70発現誘導することを示した、と報告している。

研究目的(著者による)

1) 報告されている60Hz磁界による96時間目のニワトリ胚のUV誘発死からの防護作用(先行研究publication 2843 及び publication 2882を参照)が再現可能かどうかを調べること。
2) 可能性のある周波数依存性、ならびに印加した界の様々な磁束密度及び異なる偏波の影響を調べること。

詳細情報

胚に254nmで0.4mW/cm² (UVばく露、75分間)を与えた。

60個の卵を用いた(ばく露30個、偽ばく露30個)。

UV放射に対する磁界による防護の結果として生じる可能性のあるHSP70の誘導を調べるため、ヒト細胞(対照として)及びばく露したニワトリ胚から得た物質について免疫ブロット法を実施した(j加えて、42℃で陽性対照(熱ショック)を実施した)。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 60 Hz
ばく露時間: continuous for 20 min (MF) and 75 min (UV-C)
ばく露2: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 20 min (MF) and 75 min (UV-C)
ばく露3: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 20 min (MF) and 75 min (UV-C)
ばく露4: 50 Hz
ばく露時間: continuous for 20 min or 1 hour

General information

During each experiment, 60 eggs were randomly divided into sham or exposure groups (30 eggs each).

ばく露1

主たる特性
周波数 60 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 continuous for 20 min (MF) and 75 min (UV-C)
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
チャンバの詳細 All experiments were performed in a matched pair of cell culture incubators. Both incubators served as "sham" or "exposure" incubator in a random fashion.
ばく露装置の詳細 The field was created by a double Helmholtz coil arrangement with two horizontal and two vertical coils (diameter 40 and 42 cm, resp.). The coils were wound with 30 turns each of a twisted set of three Litz leads, where the twist was about three turns per meter of length of the thread. Thus each coil had three separate windings, each with 30 turns. Two of the windings were used for the AC current and were coupled through a switch which allowed to control the current in the two windings as either parallel or anti-parallel. The latter case then served as a "sham" exposure, since the AC fields cancelled each other. The ambient DC field within the incubators was found to be 30.5 and 41.8 µT, respectively, with a predominantly vertical inclination.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 10 µT effective value 測定値 - vertical field
電力密度 0.4 mW/cm² - - - UV-C at 254 nm

ばく露2

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 continuous for 20 min (MF) and 75 min (UV-C)
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 10 µT effective value 測定値 - vertical field
磁束密度 50 µT effective value 測定値 - vertical field
磁束密度 100 µT effective value 測定値 - vertical field
電力密度 0.4 mW/cm² - - - UV-C at 254 nm
電力密度 0.8 mW/cm² - - - UV-C at 254 nm for the second flock

ばく露3

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 continuous for 20 min (MF) and 75 min (UV-C)
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 10 µT effective value 測定値 - horizontal field
磁束密度 50 µT effective value 測定値 - horizontal field
磁束密度 100 µT effective value 測定値 - horizontal field
電力密度 0.4 mW/cm² - - - UV-C at 254 nm
電力密度 0.8 mW/cm² - - - UV-C at 254 nm for the second flock

ばく露4

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 continuous for 20 min or 1 hour
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
  • E1と同じ装置
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 10 µT effective value 測定値 - vertical field
磁束密度 200 µT effective value 測定値 - vertical field

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
研究対象とした臓器系:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

UVばく露の3時間後の生存率は、偽ばく露群の胚で20%であった。対照的に、50Hz(10、50または100µT)あるいは60Hz(10µT)の垂直磁界ばく露した胚では、UVばく露の僅か30分後(及び最後の観察まで)、有意に高い生存率が認められた。これらのばく露強度でタンパク質レベルに差は認められなかった。

水平50Hz磁界(10、50または100µT)は、UV誘導死に対する一般的な防護を生じなかった。このことは、磁界による防護には誘導電界の大きさ(水平ばく露と垂直ばく露で異なる)が重要であることを示している。

更に、磁界((50Hz、200µT、1時間)の印加は、ヒトK562細胞にHSP70発現を生じたが、ニワトリ胚物質には生じなかった(熱ショックまたは磁界ばく露の処理条件に関わらず)。

研究の種別:

研究助成

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