この研究は、子宮内発達中(約3週間)から出生後5週間まで、30匹の仔ラットに50 Hzの電磁界(EMF)のばく露を与え、精細管の境界組織への影響を調べた。また、ばく露終了後は、生じたかもしれない影響からの回復を観察するために、EMFのない環境に置かれた。精細管の境界組織は、光学顕微鏡および透過型電子顕微鏡で観察した。その結果、ばく露を受けたラットでは、境界組織のさまざまな層での破壊が観察された;この組織では、内層および外層からのコラーゲンおよび網状線維の損失が原因と思われる折りたたみが生じた;非細胞の外層は、対照群に比べ薄く、複数の箇所で筋様細胞層から剥ぎ取られ、「水疱様」の外観を呈した;その他にも多くの形態学的変化が観察されたが、これらの変化は、EMFばく露を除去した後、回復の兆候が見られた、と報告している。
雄の仔ラット30匹を、子宮内での発達中に約3週間、出生後に5週間、50Hz電磁界にばく露した。半数の仔をばく露の最終日の直後に屠殺し、残りの半数をばく露なしの8週間の回復期間後に屠殺した。対照群も雄の仔ラット30匹で構成された。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 3 weeks in utero and 5 weeks postnatal
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ばく露ラットで調査した組織には、各種の層での破損が認められた。この組織には陥入が認められ、これは恐らく、内側及び外側の非細胞層からのコラーゲン及び網状の原線維の喪失によるものであった。外側の非細胞層は、対照群よりも薄く、複数の領域で筋様細胞(管周囲収縮細胞)層から剥ぎ取られ、「疱疹様」の外観を示した。筋様細胞にはポリリボソーム、ピノサイトーシス小胞(流体エンドサイトーシス)及びグリコーゲン顆粒が少なかった。ほとんどのミトコンドリアには、内側のミトコンドリア膜の陥入が認められなかった。個々の筋様細胞間の接続は明らかに喪失していた。回復期には再生の兆候があった。
これらのデータは、低周波電磁界ばく露は細精管の境界組織に重大な変化を生じるかも知れないことを示唆している。
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