この研究は、超低周波磁界(ELF-MF)への職業ばく露を受けたスポット溶接作業員の血清を用いて、ELF-MFとヒト抗酸化活性との関係を調べた。影響評価項目として、全血清抗酸化状態(TAS)、赤血球(RBC)のグルタチオンペルオキシダーゼ(GPX)とスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)を測定した。スポット溶接作業員(n = 46)がばく露を受けたELF-MFは、周波数50 Hzで、磁界強度の範囲8.8 - 84 μT、電界強度の範囲20 - 133 V / mに分布していた。このようなばく露群とELF-MFばく露を体験していない対照群の間で測定データを比較した。その結果、TASレベルには両群間での有意差は観察されなかった;ただし、ばく露群の赤血球において、SODおよびGPXの活性の有意な低下が観察された;この減少はそれぞれ、22および12.3 %であった;さらに、SOD / GPX活性とばく露磁界強度の大きさの間に有意な負の相関が観察された(SODの相関係数:-0.625、有意性:0.0001およびGPXの相関係数:-0.348、有意性:0.018)、と報告している。
同じ工場の46人の男性スポット溶接工及び対照群(n=45)を調べた(平均雇用期間=3.8年)。両群は人口統計学的特性、雇用条件及び除外クライテリアでマッチさせた。作業者は動的な電磁界に40時間/週(6日間/週)ばく露された。交代制勤務の開始前(12時間の断食後)、血液サンプルを採取した。抗酸化活性に対する影響を制御するため、金属蒸気の濃度(交絡変数)を測定した。
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | 40 h/week for 3.8 years (mean time) |
ばく露の発生源/構造 |
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Distance between exposed object and exposure source | 1 m |
全抗酸化活性の平均濃度は、非ばく露群よりもばく露群で高かった;但し、この差は有意ではなかった。ばく露群の赤血球細胞では、スーパーオキシドジスムターゼ活性及びグルタチオンペロキシダーゼ活性の有意な低下が認められた。磁界強度と、スーパーオキシドジスムターゼ活性及びグルタチオンペロキシダーゼ活性との有意な負の相関が認められた。金属蒸気ばく露と抗酸化活性との有意な相関はなかった。
この知見は、推奨されているばく露レベルでも生じ得る、磁界強度と赤血球の抗酸化活性との量‐反応関係を示唆しているかも知れない。この結果は、超低周波磁界は赤血球細胞の抗酸化活性に影響力を及ぼすことができ、酸化ストレッサとして作用するかも知れないことを示している。
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