この研究は、農村地域を横断する高電圧送電線からの電界および磁界(EMF)が乳牛に与える影響を調べた。先行研究は、EMFばく露を受けた乳牛における乾物摂取量(DMI)および脂肪補正乳の増加を示した。これについて、メラトニン仮説(EMFばく露が松果体からのメラトニン放出を抑制する)に基づいて、EMFの影響は、長日性の影響(日中の長さに応じて乳牛のDMIと牛乳生産量が増加する)に似ていると考えられた。この研究では、EMFが光周期への応答を変化させる作用があるという仮説を検証するために、乳牛を短日条件下(8時間明、16時間暗)に維持し、制御されたEMFばく露(10 kV / mの垂直電界および30 μTの水平磁界)を与える実験を、授乳中の妊娠ホルスタイン牛16頭を対象にクロスオーバーデザインで実施した。それぞれ8頭からなる2群は、2つのシーケンスのいずれかで16時間/日のEMFばく露を受けた。各シーケンスは、3つの連続する28日間で構成された。その結果、DMIと血漿IGF-1は、EMFばく露中に有意に増加した;平均GH濃度への影響はなかった;全体として、牛乳生産量またはその成分はEMFばく露の影響を受けなかった、と報告している。
短日にさらした授乳中及び妊娠中の乳牛における、成長ホルモン及びインスリン様成長因子1の産出及びレベルに対する、電界及び磁界(60Hz)の影響を調べること。
電磁界ばく露が光に似ているならば、電磁界への長時間ばく露は長日のように作用するはずである。ゆえに、成長ホルモンの増加なしに、高濃度のインスリン様成長因子(IGF-1)と同時に、乾物摂取量及び乳量の増加が予想される。
IGF-1濃度の季節変化は光周期の変化によって生じることを示す証拠がある。先行研究では、長日の光周期に応じて、乳牛の乾物摂取量及び乳生産が増加し、これはIGF-1の増加に関連しているが、成長ホルモンとは関連していないことが示されている。
全ての動物を短日条件下(8時間の明期、16時間の暗期)に維持した。2群の授乳中、妊娠中の牝牛8頭を、2つのシーケンスのいずれかで電磁界に16時間/日(明期の8時間+暗期の前半8時間)ばく露した。各シーケンスは、3つの連続28日間で構成された。第一群:28日間非ばく露、28日間ばく露、28日間非ばく露(オフ‐オン‐オフ)。第二群:28日間ばく露、28日間非ばく露、28日間ばく露(オン‐オフ‐オン)。
ばく露の発生源/構造 |
|
---|---|
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
乾物摂取量及び血漿IGF-1はばく露中に増加した。IGF-1濃度は人工的な長日光周期での実験における報告と同等であった。
成長ホルモンの平均濃度は影響されたが、「処理×時間の相互作用」が認められ、成長ホルモンはばく露群のサンプル採取期間の最初の16時間で低下し、後の8時間で上昇した(24時間測定)。全体として、乳量またはその成分は電磁界ばく露に影響されなかったが、乳量は処理の4週目(実験期間の最後)のばく露群で有意に多かった。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。