この研究は、先行研究(Harland and Liburdy)の知見を独立的に検証した。彼らは、インビトロでヒト乳がん細胞MCF-7に、1.2 μT(rms)、60 Hzの磁界ばく露を与えた結果、生理的レベルのメラトニン(10(-9)M)および薬理学的レベルのタモキシフェン(10(-7) M)によるMCF-7細胞増殖抑制作用が有意に低下したと報告した。今回の検証研究では、2つのプロトコルを使用した。メラトニン研究では、処置7日目に、培養皿あたりの細胞数を血球計アッセイを用いて決定した。タモキシフェン研究では、処置4, 5, 6, 7日目に、培養皿あたりの細胞数を細胞計数アッセイにて特徴付けた。メラトニンおよびタモキシフェン研究の両方とも、インキュベータ内に置かれた2つのばく露チャンバーに細胞培養皿を置き、どちらか一方のチャンバーを起動することで、ばく露、擬似ばく露を行なった。細胞の計数を行なった者には、ばく露・擬似ばく露の情報は与えられなかった。メラトニン研究は、実験を3回繰り返し、タモキシフェン研究では、各実験を9回繰り返した。その結果、メラトニン研究では、皿あたりの細胞数は、対照群に比べ、培養7日後のメラトニン処置群で有意に減少(16.7%)したが、1.2 μT(rms)、60 Hz磁界存在下で培養されたメラトニン処置群の細胞数は対照群と同等であった;タモキシフェン研究についても、HarlandとLiburdyによって報告されたものと一致して、タモキシフェンの増殖抑制作用が磁界ばく露群において有意に低下した、と報告している。
MCF-7ヒト乳がん細胞に対するイン・ビトロでのメラトニン及びタモキシフェンの阻害作用を60Hz磁界が有意に低減し得ることを示した、Harland及びLiburdy(1997) の研究再現すること。
メラトニンについての調査では、9個の細胞サンプルを以下の各群に細分し、7日目に調べた:1) 対照群、2) メラトニン群(10-9 M)、3) メラトニン+ばく露群。
タモキシフェンについての調査では、48個の細胞サンプルを以下の各群に細分した:1) 対照群、2) タモキシフェン群(10-7 M)、3) タモキシフェン+ばく露群。サンプルを4、5、6、7日目に調査した。
ばく露 | パラメータ |
---|---|
ばく露1:
60 Hz
ばく露時間:
continuous, up to 7 days
|
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周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous, up to 7 days |
ばく露の発生源/構造 | |
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チャンバの詳細 | CO2 incubator, 35 mm dishes |
ばく露装置の詳細 | coils with 1000 turns, 20 cm diameter, 10 cm apart, vertical field; culture dishes in uniform field region |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
磁束密度 | 1.2 µT | effective value | 測定値 | - | - |
メラトニンについての調査では、対照群と比較して、インキュベーション7日後のメラトニン処理群の細胞数は有意に低減した(16.7%)が、メラトニン処理+ばく露群では対照群と同じ細胞数であった。タモキシフェンについての調査では、対照群と比較して、タモキシフェンは6日目及び7日目に細胞増殖をそれぞれ18.6%及び25%低減させたが、タモキシフェン処理+ばく露群では細胞増殖の低減はそれぞれ僅か8.7%及び13.1%であった。
著者らは、これらの結果は Harland及びLiburdy(1997) の報告と一致する、と結論付けている。
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