この研究は、著者が先行研究で報告した「鉄イオンおよび50Hz 磁界(MF)のの同時ばく露を受けたラット末梢血リンパ球に生じたDNA損傷」に、フリーラジカルスカベンジャーであるメラトニンがどのように関与するかを調べた。DNA損傷の評価にはアルカリ性コメットアッセイを選択した。プレインキュベーション中に、細胞サンプルの一部には、メラトニン(0.5または1.0 mM)を添加した。ばく露にはヘルムホルツコイルを用い、7mTの50Hz MF下で3時間インキュベートした。 MFばく露中に、一部のサンプルを塩化第一鉄(FeCl 2、10 μg/ ml)で処理し、残りを対照として使用した。その結果、対照群またはFeCl 2単独処理群と比較すると、FeCl 2と7mTの50Hz MFの同時ばく露群においてのみ、DNA損傷細胞の数の有意な増加が見られた;しかし、細胞をメラトニンで処理し、次いで鉄イオンおよび50Hz MFに同時ばく露した場合、DNA損傷細胞の数は有意に減少し、その効果はメラトニンの濃度に依存した;減少は、0.5 mMで約50 %、1.0 mMで約100%に達した、と報告している。
著者らは以前、ラットのリンパ球の鉄イオンと50Hz磁界への同時ばく露が、DNA損傷のある細胞の数を増加させることを見出した(publication 4790)。磁界誘発性のDNA損傷のメカニズムは不明だが、著者らは、フリーラジカルの関与を仮定している。
インキュベーション前に、細胞サンプルの一部にメラトニン(0.5または1.0mM)を添加した。磁界ばく露の際、同じサンプルを塩化第一鉄(FeCl2、10µg/ml)で処理し、残りを対照とした。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 3 h
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 3 h |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | Lymphocyte suspensions were exposed in a small water bath maintained at 37°C. It was placed inside the coils which provided a highly homogenous field. An identical water bath for control purpose was placed outside the coils in ambient field of about 50 µT. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 7 mT | - | 測定値 | - | - |
対照サンプル、またはFeCl2単独処理と比較して、FeCl2と磁界への同時ばく露後のリンパ球にのみ、DNA損傷のある細胞の数の有意な増加が認められた。但し、リンパ球をメラトニンで処理し、その後に鉄イオンと磁界にばく露した場合、損傷した細胞の数は有意に低減した。この影響はメラトニン濃度に依存した:低減は0.5mMで約50%、1.0mMでは約100%に達した。
このデータは、鉄イオンと50Hz磁界にイン・ビトロでばく露したラットのリンパ球でのDNA損傷に対し、メラトニンが保護することを示している。ゆえに、50Hz磁界と鉄イオンによって生じるDNA損傷にはフリーラジカルが関与しているかも知れないことが示唆される。
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