この研究は、超低周波磁界(MF)および内分泌かく乱物質アトラジンそれぞれの単独ばく露、あるいは両者の組み合わせばく露が、思春期前後の幼若ラットの甲状腺に及ぼす影響を調べた。生後23日目のオスのウィスターラットを6群に分けた。1)MFばく露、(2)低用量アトラジン投与、(3)高用量アトラジン投与、(4)低用量アトラジン投与+MFばく露、(5)高用量アトラジン+MFばく露、(6)対照である。MF(50 Hz、100 - 300 μT、54 - 160 V / m)ばく露は4時間/日で30日間継続した。アトラジンは、毎日、投与量(低用量は20 mg / kg体重、高用量は200 mg / kg体重)を食用オリーブオイルに溶かし、30日間与えた。生後53日目に全動物を屠殺し、甲状腺の検査を行った。その結果、光学顕微鏡および電子顕微鏡による検査では、各種処置群と対照群の間で甲状腺構造の有意な変化は見られなかった;MFばく露群では、2つのアトラジン投与群および組み合わせ処置群に比べ、甲状腺濾胞の体積密度および結合組織に有意な変化が見られた;高用量アトラジン群では、対照群に比べ、肥満細胞の数に有意な変化が見られた;総括すると、甲状腺に対するMFとアトラジンとの相乗的影響は見いだせなかった、と報告している。
幼若な性成熟前のラット(出生後23-53日齢)の甲状腺に対する、超低周波磁界と内分泌かく乱化合物アトラジンの影響を(それぞれ個別に)を調べ、また、これら2つの因子の組合せ(共ばく露)によって生じるかも知れない相乗効果を調査すること。
動物を6群(各群n=12)に分けた:1) 磁界ばく露、2) アトラジン処理(体重あたり毎日20mg/kg)、3) アトラジン処理(毎日200mg/kg)、4) 磁界ばく露+アトラジン処理(20mg/kg)、5) 磁界ばく露+アトラジン処理(200mg/kg)、6) 対照
Animals were divided into six groups: i) exposure to EMF ii) 20 mg/kg body weight of atrazine iii) 200 mg/kg body weight of atrazine iv) 20 mg/kg body weight of atrazine + exposure to EMF v) 200 mg/kg body weight of atrazine + exposure to EMF vi) control group
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | continuous for 4 hr/day (from 10:00 to 14:00) on 30 days |
ばく露の発生源/構造 | |
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Distance between exposed object and exposure source | 12 cm |
ばく露装置の詳細 | solenoid equipped with a cooling system; cages with animals placed on both sides of the solenoid; inhomogeneous field with the maximum field on the side of the cage near the coil |
このデータは、処理群と対照群では甲状腺の構造に有意な変化はないことを示した。甲状腺濾胞及びとその結合組織の体積密度に関して、磁界ばく露群と2つのアトラジン処理群、ならびに磁界ばく露群と共ばく露群で、有意な結果が見られた。
対照群と比較して、高用量のアトラジン単独処理のみが、肥満細胞の数に有意に影響した。
結論として、甲状腺に対する磁界と内分泌かく乱化合物のアトラジンとの相乗効果は見られなかった。幾つかの処理群で認められた甲状腺実質の組織学的変化については、更なる調査が必要である。
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