この研究は、「ヒトは低強度の電界および磁界に反応する」という仮説を検証した。仮にこの反応能力が感覚伝達の形態であるならば、他の感覚刺激と同様に、電界および磁界が誘発電位を誘発するとの予想に基づき、17人の被験者を対象に、2 G、60 Hz(一般的な環境と同等の磁束密度)の開始時および終了時における誘発電位の存在を調べる実験を行った。データ分析には、線形的手法(時間平均)および非線形的手法(再帰定量化分析)を用い、刺激/応答関係の動的な性質を評価できるようにした。その結果、再帰定量化分析により、後頭部由来の信号における磁気感覚誘発電位(MEP)が16人の被験者で見いだされた(各被験者についてP <0.05);電位は刺激の適用後109〜454ミリ秒(被験者によって異なる)で発生し、トリガーのタイミングは、磁界開始時、終了時、またはその両方のものもあった;時間平均法では、MEPは検出されなかった;中心部および頭頂部からの信号におけるMEPも、再帰定量化分析ではほとんどの被験者で見つかったが、時間平均法では検出されなかった;弱い磁界に反応したMEPの発生はヒトの磁気感覚の存在を示唆すること、通常研究されている誘発電位とは異なり、MEPは刺激に非線形的に関連しており、応答を検出するには非線形手法を用いる必要があることが示された、と報告している。
臨床的に正常な被験者17人(男性8人、女性9人、年齢18-51歳)が本研究に参加した。磁気感覚誘発電位を、a) 再発分析(線形及び非線形の判定)、b) 時間平均法(線形の判定のみ)を用いて判定した。陽性対照として、両耳用の424Hzトーン(音圧レベル:65dB)を用いた。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
60 Hz
ばく露時間:
2 s
|
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周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
|
ばく露時間 | 2 s |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | two sets of coils 65 cm apart; each set consisting of a circular coil with a radius of 26.1 cm and 21 turns and two square coils 48.3 cm side lenght and 85 turns and 66 cm side length and 120 turns |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 200 µT | - | - | - | - |
再発分析法を用いた場合、後頭部からの信号における磁気感覚誘発電位が、16人の被験者で認められた。中央及び頭頂電極からの信号における磁気感覚誘発電位は、大半の被験者で認められた。
時間平均法を用いた場合、脳のどの領域でも、磁気感覚誘発電位は検出されなかった。
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