この研究は、弱い低周波磁界のオンセットおよびオフセットが引き金となって生じる誘発電位に関して、その電位の発生を電界のみが関与する生物物理学的結合メカニズムで説明できるか否かを検討した。なぜなら、磁界刺激の場合、脳には磁界とその誘導電界の両方が存在しており、脳の活動への影響におけるそれぞれの役割が確認されていないからである。磁気刺激によって誘導される電界と同等の電界を脳に生じさせ得る外部電界を有限要素法により決定した。23人の被験者からの脳電図(EEG)を、そのような外部電界の存在下と非存在下にて6電極法で測定した。誘発電位の存在は、非線形および線形分析を用いて評価した。その結果、誘発電位は、1人を除くすべての被験者で観察された(各被験者でp < 0.05);電位は、以前の研究で見られたのと同じ潜時、持続時間、および振幅分布であったが、これは非線形分析によってのみ検出可能であった;イオンチャネルの現実的な物理モデルにおいて、電界がチャネルゲートに付着した多糖体分子に力を及ぼすと仮定することにより、電界の変換が説明可能であることを示した;以上の知見から、磁気刺激に応答して以前に観察された誘発電位は、おそらく誘導電界によって引き起こされた可能性がある、と報告している。
先行研究(Carrubba他、2008;Carrubba他、2007a;Carrubba他、2007b)では、弱い低周波磁界が磁気感覚誘発電位のトリガとなることが示されている。磁界とそれが生じる電界の両方が脳内に存在していたので、脳の活動に対するその成分(磁界/電界)の明確な影響力は不明である。
被験者23人(男性6人)を、先行研究(上述)の磁界に相当する電界を脳に生じさせることができる強度の電界にばく露した。感度を調べるため、電界の強度を系統的に低下させ、常に知覚閾値未満にした。偽ばく露(陰性対照)をばく露の前または後に無作為に実施した。
周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | 80 pulses |
Modulation type | pulsed |
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Pulse width | 2 s |
Rise time | 5 ms |
Fall time | 15 ms |
Additional information |
5 s interval between pulses |
ばく露の発生源/構造 |
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ばく露装置の詳細 | plates inside an electrically grounded room, test person's head between the plates; field perpendicular to the sagittal plane |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
1人を除く全ての被験者で、電界に対する誘発電位が観察された。誘発電位の潜伏時間、持続時間、程度の分布は、先行研究(上述)で磁界がトリガとなった電位と同じであった。時間平均化を用いたEEG分析に基づいた場合、誘発電位は検出されなかったが、再発分析では検出された。感度の閾値は検出できなかった。
電界は本研究及び先行研究における誘発電位の十分な生物物理学的決定因子であると結論付けられた。電界の変換は、イオンチャネルゲートに対する力が関与するプロセスによる、電界と組織との生物物理学的結合によって説明可能であった。
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