この研究は、低強度の電磁界(EMF)がラットに誘発電位を生じさせるか否かを調べた。さらには誘発電位が脳でのグルコース利用に関連することを利用して、EMFで活性化された脳の局所的領域を同定する方法を検討した。その結果、2.5 G、60 Hzの刺激に応答して、オンセットおよびオフセット誘発電位(刺激がオンおよびオフになったタイミングに呼応した誘発電位)が検出された(実験した10匹のラットそれぞれでP < 0.05);ウサギおよびヒトを対象にした先行研究で観察された誘発電位と同じ大きさ、潜時で、EMFとの非線形関係も同じであった;フルオロデオキシグルコースを用いたポジトロンエミッションCT法によって、電気生理学的影響に関連して活性化された神経解剖学的領域を同定した;具体的には、追加の10匹のラットを用いた実験で、ペアのエミッションスキャン(EMF刺激を与えた場合と与えなかった場合のスキャン像)の差分を平均して、プールされた分散を用いてt統計量画像を作成し、各ボクセルのt値を算出して活性化されたボクセルを特定した;小脳の後部中央に位置する13 mm3の脳容積(15ボクセル分)が活性化されていることが示された、と報告している。
著者らは、ヒト(publication 15027)及びウサギ(publication 9242)の磁気感覚誘発電位についての先行研究の結果を拡張しようとした。
最初の実験では、雌のラット10匹を磁界にばく露した。第2の実験では、局所的なグルコース取り込み率に対する磁界の影響を、別の10匹のラットのグループでPETを用いて分析した。角ラットを2回(ばく露後及び偽ばく露後)走査した。
ばく露 | パラメータ |
---|---|
ばく露1:
60 Hz
Modulation type:
pulsed
ばく露時間:
45 min
|
|
周波数 | 60 Hz |
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タイプ |
|
ばく露時間 | 45 min |
Modulation type | pulsed |
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Pulse width | 2 s |
Additional information |
interstimulus period = 5 s |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | rats placed in 28 cm x 18 cm x 13 cm non-metallic cages inside the coil |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 0.25 mT | - | - | - | - |
磁気感覚誘発電位の開始は、10匹のラット全て、磁気感覚誘発電位の終了は10匹中7匹で検出された。磁気感覚誘発電位は、大きさ、潜時、動的起源がウサギ(publication 9242参照)及びヒト(publication 15027参照)と類似していた。同じ動物の偽ばく露と比較して、磁界ばく露は小脳のフルオロデオキシグルコース取り込みを刺激した。
この結果は、ラットの磁気感覚誘発電位は小脳でのグルコース利用の増加と関連していることを示しており、脳内で電磁界の変換が生じているという先行研究の証拠を支持するものである。
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