この研究は、50 Hz、700 μTの磁界(MF)ばく露を培養中の内皮細胞に与え、それによりHsp60の発現が増加するか否かを調べた。著者らの研究グループは、アテローム性動脈硬化症が自己免疫成分を持ち、内皮細胞で支配的な自己抗原として発現する熱ショックタンパク質60(Hsp60)を持つ可能性があることを示した。またHsp60は、アテローム性動脈硬化の古典的なリスク因子を含め多くのストレッサーにより発現が誘導されることは知られている。以前に、MFばく露により内皮細胞でのHsp70発現を報告したが、それと同様にHsp60の発現が増加するか否かを調べたのである。その結果、高強度のMFばく露は培養内皮細胞でのHsp60の発現に影響を与えなかった;MF単独ばく露または古典的な熱ストレスと組み合わせたMFばく露のいずれの場合も、メッセンジャーリボ核酸レベルまたはタンパク質レベルのいずれにおいても、影響は見られなかった、と報告している。
内皮細胞による熱ショックタンパク質の発現のレベル上昇は、血管硬化症の発生に重要な役割を担っているという仮説が提唱されていることから、このタンパク質を調査した。
細胞を磁界に単独ばく露または熱ショック(42℃で30分間)の前/後に共ばく露した。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
6 h, 24 h continuous
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experiments were performed: i) with EMF only ii) with heat stress ( 30 min at 42°) only iii) with EMF and heat stress
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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ばく露時間 | 6 h, 24 h continuous |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | Helmholtz coil consisting of a pair of circular coils each with an inner diameter of 200 mm and 110 turns of 1 mm copper wire around a Perspex frame, 110 mm apart |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 700 µT | - | 測定値 | - | - |
磁界に単独ばく露した内皮細胞、あるいは磁界ばく露の前または後に熱ショックによるストレスにさらした細胞のいずれにおいても、Hsp60発現の有意な変化は認められなかった。
ゆえに、磁界ばく露は血管硬化症のリスク要因とはみなされない。
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