研究のタイプ: 医学/生物学の研究 (experimental study)

[イン・ビトロでのヒト内皮細胞における熱ショックタンパク質60の発現レベルは50Hz磁界ばく露の影響を受けない] med./bio.

Expression levels of heat shock protein 60 in human endothelial cells in vitro are unaffected by exposure to 50 Hz magnetic fields

掲載誌: Cell Stress Chaperones 2003; 8 (2): 172-182

この研究は、50 Hz、700 μTの磁界MFばく露培養中の内皮細胞に与え、それによりHsp60の発現が増加するか否かを調べた。著者らの研究グループは、アテローム性動脈硬化症自己免疫成分を持ち、内皮細胞で支配的な自己抗原として発現する熱ショックタンパク質60(Hsp60)を持つ可能性があることを示した。またHsp60は、アテローム性動脈硬化の古典的なリスク因子を含め多くのストレッサーにより発現誘導されることは知られている。以前に、MFばく露により内皮細胞でのHsp70発現を報告したが、それと同様にHsp60の発現が増加するか否かを調べたのである。その結果、高強度のMFばく露培養内皮細胞でのHsp60の発現に影響を与えなかった;MF単独ばく露または古典的な熱ストレスと組み合わせたMFばく露のいずれの場合も、メッセンジャーリボ核酸レベルまたはタンパク質レベルのいずれにおいても、影響は見られなかった、と報告している。

研究目的(著者による)

本研究は、ヒトの非形質転換内皮細胞に対する熱ショックタンパク質60の発現に対する超低周波磁界の影響をイン・ビトロで調べるために実施した。

詳細情報

内皮細胞による熱ショックタンパク質発現のレベル上昇は、血管硬化症の発生に重要な役割を担っているという仮説が提唱されていることから、このタンパク質を調査した。
細胞磁界に単独ばく露または熱ショック(42℃で30分間)の前/後に共ばく露した。

影響評価項目

ばく露

ばく露 パラメータ
ばく露1: 50 Hz
ばく露時間: 6 h, 24 h continuous

General information

experiments were performed: i) with EMF only ii) with heat stress ( 30 min at 42°) only iii) with EMF and heat stress

ばく露1

主たる特性
周波数 50 Hz
タイプ
  • magnetic field
ばく露時間 6 h, 24 h continuous
ばく露装置
ばく露の発生源/構造
ばく露装置の詳細 Helmholtz coil consisting of a pair of circular coils each with an inner diameter of 200 mm and 110 turns of 1 mm copper wire around a Perspex frame, 110 mm apart
Sham exposure A sham exposure was conducted.
パラメータ
測定量 種別 Method Mass 備考
磁束密度 700 µT - 測定値 - -

ばく露を受けた生物:

方法 影響評価項目/測定パラメータ/方法

研究対象とした生物試料:
調査の時期:
  • ばく露後

研究の主なアウトカム(著者による)

磁界に単独ばく露した内皮細胞、あるいは磁界ばく露の前または後に熱ショックによるストレスにさらした細胞のいずれにおいても、Hsp60発現有意な変化は認められなかった。
ゆえに、磁界ばく露血管硬化症リスク要因とはみなされない。

研究の種別:

研究助成

関連論文