この研究は、胚着床、血清中の17β-エストラジオール、プロゲステロン、テストステロン、およびメラトニンのレベル、ならびに子宮内のエストロゲン受容体(ER)およびプロゲステロン受容体(PgR)の密度を指標に、ラットの着床前および着床期における50Hz正弦波磁界(MF)の影響を調べた。妊娠したウィスターラットへの磁界ばく露(10または100 A / m(13または130 μT))または擬似ばく露を、妊娠0日目から、24時間/日で、屠殺まで継続した。屠殺は、排卵後70時間から176時間の間の明期および暗期に行なった。結果として、MFは、平均の着床総数に影響しなかった;夜間の平均血清メラトニン濃度は、10および100 A / mでそれぞれ34および38%減少した;MFばく露群において、最初の胚は、初期の発達段階で子宮に到着した;血清エストラジオールおよびプロゲステロンレベルは有意に変化しなかった;100 A / mばく露の場合、子宮の細胞核のPgRおよびER密度の着床前での減少、初期胚の発生率上昇およびが孵化胚数の減少が見られた;着床期の初期に、子宮の細胞質ゾルのER / PgR比は100 A / mで上昇し、その場合、子宮での着床は見られなかった;細胞核のER / PgR比は、どちらのレベルのMFばく露群でも、着床中に低下し、その場合、10および100 A / mにおいて、胚のそれぞれ19%および15%はまだ桑実胚であり、着床しなかった;総括すると、ラットでは、MFばく露により、胚の輸送および発生、ならびに関連する内分泌学的パラメータは境界線付近での変化が生じる可能性はあるが、着床は損なわれない、と報告している。
通常は拒否される胚(即ち、子宮に着床するには成熟が足りない胚)の着床を磁界が強めるという仮説を調べること。この目的のため、妊娠初期の雌ラットを磁界にばく露し、着床前の胚と着床させた胚を、それぞれ卵管と子宮から採取した。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
24 h/day from day 0 of pregnancy until at least 70 h up to 176 h after ovulation
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周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | 24 h/day from day 0 of pregnancy until at least 70 h up to 176 h after ovulation |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | two pairs of Helmholtz coils in wooden frames; coils with a cross section of 0.425 x 1.205 m, 0.155 m apart; horizontal distance between coil pairs 0.485 m; two cages inside each coil; for 13 µT coils with 1 turn; for 130 µT coils with 10 turns |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 13 µT | effective value | - | - | - |
磁束密度 | 130 µT | effective value | - | - | - |
磁界強度 | 100 A/m | - | - | - | - |
磁界強度 | 10 A/m | - | - | - | - |
磁束密度 | 48 µT | minimum | 測定値 | - | e: geomagnetic flux density with EMF exposure: 48 - 55 µTd: geomagnetische Flußdichte bei EMF Exposition: 48 - 55 µT |
磁束密度 | 45 µT | minimum | 測定値 | - | e: geomagnetic flux density without EMF exposure: 45 - 50 µTd: geomagnetische Flußdichte ohne EMF Exposition: 45 - 50 µT |
磁界ばく露は着床数の平均合計を変化させなかった。夜間のメラトニンレベルは100A/m及び10A/mでそれぞれ38%及び34%減少した。プロゲステロン及びエストラジオールの血清レベルは有意に変化しなかった。着床初期では、100A/mでエストロゲン受容体とプロゲステロン受容体の細胞質内比率の低下が認められた。エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体の核内比率は、どちらのばく露群でも低下した。100A/m及び10A/mでは、15%及び19%の胚がまだ桑実胚で、着床しなかった。
著者らは、磁界ばく露はラットの胚着床を阻害しないが、胚発生と内分泌パラメータのボーダーラインの若干の変化を生じるかも知れない、と要約している。
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