この研究は、著者の先行研究の知見(50 Hz磁界(MF)ばく露および/または12-O-テトラデカノイルホルボール-3-アセテート(TPA)処置を与えられたチャイニーズハムスター肺細胞(CHL)において、ギャップ結合細胞間コミュニケーション(GJIC)の阻害が見られた)を踏まえ、超低周波(ELF)MFおよびTPAによって誘発されるGJIC阻害のメカニズムを調査、比較するために、コネキシン43(Cx43)の数と局在性を調べた。CHL細胞に0.8 mT、50 Hz正弦波磁界の24時間ばく露を行い、その最後に1時間にTPA(5 ng / ml)処置を与えた場合と与えなかった場合について、Cx43の局在を、間接免疫蛍光組織化学分析および共焦点顕微鏡で調べた。核および細胞質のCx43レベルは、ウェスタンブロット分析で調べた。その結果、MFおよび/またはTPAのばく露を受けた細胞において、細胞間の接触領域にプラークが見られ、それは正常細胞に比べ、数が少なかった;しかし、細胞質のCx43の数は増加し、核の近くに集合していた;ウェスタンブロット分析により、Cx43の位置の変化が量的に示された;これらの知見から、細胞間接触領域でのCx43の減少が、ELF MFによって誘発されるGJIC阻害のメカニズムの1つである可能性が示唆された、と報告している。
著者らは、ギャップ結合細胞間情報伝達についての先行研究で、0.8mTの磁界ばく露がギャップ結合細胞間情報伝達に対する阻害作用を有することを示した(関連文献を参照)。一方、著者らは、超低周波磁界及び/またはTPAばく露が、非リン酸化コネキシン43の量を減らし、高リン酸化コネキシン43を生じることを報告した。このことは、磁界及び/またはTPAはコネキシン43のリン酸化をプロモートし得ることを示唆している(磁界によって誘発される細胞間情報伝達の阻害は主にギャップ結合コネキシンの高リン酸化によるものかも知れないことを示す)。
ばく露 | パラメータ |
---|---|
ばく露1:
50 Hz
ばく露時間:
continuous for 24 h
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原形質膜に局在するコネキシン43免疫染色ギャップ結合プラークは、磁界ばく露及び/またはTPA処理後に減少したが、細胞質中のコネキシン43の数は増加し、核の近くに集まった。
これらの知見は、細胞間接触部のコネキシン43の減少は、超低周波磁界によるギャップ接合細胞間情報伝達の阻害のメカニズムの1つかも知れない、ということを示している。
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