この研究は、著者らの先行研究(50 Hzのコヒーレント正弦波磁界(MF)の24時間ばく露により、0.4 mTでは哺乳類細胞のギャップ結合細胞間コミュニケーション(GJIC)が阻害され、0.2mTでは12-O-テトラデカノイルホルボール-13-酢酸塩(TPA)による阻害効果が増強されると報告)を背景に、このようなMFによるGJIC抑制に対する非コヒーレントノイズMFの影響を調べた。GJICは、レーザ走査型共焦点顕微鏡を用いた光退色後の蛍光回復(FRAP)により測定され、光退色後10分での蛍光回復率(R)をGJICの機能指数とした。その結果、0.4 mTの50 Hz正弦波MFに24時間ばく露されたNIH3T3細胞のR値は30.85±14.70 %、擬似ばく露群のR.値は46.36±20.68 %であり、 NIH3T3細胞のGJICは、MFばく露により有意に抑制された;しかし、擬似ばく露群、MF +ノイズMFばく露群(R:49.58±19.38 %)、およびノイズMFばく露群(R:46.74±21.14 %)のR値に有意差はなかったことから、ノイズMFの重ね合わせにより、50 Hz MF誘発のGJIC抑制が緩和されたことが示された;さらに、0.2 mTでは、TPA誘発GJIC阻害が相乗的に増強されたが、ノイズMFの重ね合わせにより、コヒーレントMFの相乗効果は打ち消された;これらの知見は、ノイズMF自体はNIH3T3細胞のGJICに影響を与えなかったが、同じ強度でコヒーレント正弦波MFに重ね合わせると、MF誘発GJIC抑制を打ち消したことを示した、と報告している。
本研究は先行研究(publication 387、publication 10066)の拡張である。50Hz正弦波磁界への24時間ばく露は、0.4mTの強度でCHL細胞におけるギャップ結合細胞間情報伝達を阻害し、0.2mTではTPAによる阻害作用を強めた。
The experiments were conducted in 8 treatment groups with 4 dishes in each group: 1) sham exposure, 2) 0.4 mT MF alone, 3) 0.4 mT MF + 0.4 mT noise MF, 4) 0.4 mT noise alone, 5) 0.2 mT MF plus TPA (5 ng/ml), 6) same as 5 plus noise MF, 7) 0.2 mT alone, 8) 5 ng/ml TPA alone.
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 24 h |
ばく露の発生源/構造 | |
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ばく露装置の詳細 | Three groups of square coils (36 x 36 cm) placed in a CO2 incubator. The upper, middle and the lower coils were connected in series and spaced 8 cm apart from each other. The coils were placed in an iron metal container with a lot ventilation holes to shield cells from stray MF. A very uniform magnetic field was present in the center (10 x 10 x 10 cm³) of the coils, where the cells were located. |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
Additional information | To generate noise MF, the coils system was double-wrapped with two lines of copper wires. One of the double wires was provided with 30-910 Hz white noise signal and the other was fed with 50 Hz AC current. |
NIH3T3細胞のギャップ結合細胞間情報伝達は磁界ばく露によって有意に阻害された。但し、偽ばく露細胞、「磁界+ノイズ磁界」ばく露、及び「ノイズ磁界ばく露」との間には有意差は認められず、このことは、ノイズ磁界の重ね合わせは50Hz磁界によって生じるギャップ結合細胞間情報伝達の抑制を軽減したことを示している。
加えて、磁界ばく露は0.2mTではTPAによるギャップ結合細胞間情報伝達の阻害を相乗的に強めたが、ノイズ磁界の更なる上乗せは、コヒーレント次回の相乗効果を打破した。
結論として、本データは、ノイズ磁界自体にはNIH3T3細胞のギャップ結合細胞間情報伝達への影響はないものの、コヒーレントな正弦波磁界に対する同じ強度での重ね合わせは、磁界によって生じたギャップ結合細胞間情報伝達の抑制を打破する、ということを明確に示した。
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