この研究は、線維芽細胞NIH3T3を用いて、ギャップ結合を介した細胞間情報伝達(GJIC)に対する50Hz磁界(MF)の影響を調べた。顕微鏡下での蛍光消光後回復(FRAP)を用いて、GJICによる蛍光染料の拡散を観察した。まず、MF(0.4または1mT)の24時間ばく露の直接的影響を調べた。次に、MFとGJICの阻害因子(TPA)との相乗効果を調べた(TPA添加して1時間培養した後に、MFの24時間ばく露を行った)。その結果、これまでの他の報告に反して、50HzMFばく露による直接的なGJIC阻害もTPA誘導性の阻害との相乗作用も観察されなかった、と報告している。
テトラデカノイルホルボールアセタート(TPA) はギャップ結合による細胞間情報伝達を阻害し、ポジティブコントロールとして用いられた。この研究で調べようとした、磁界とTPAの共ばく露の相乗効果については、文献に記されている(Li CM et al. (1999) and Hu GL et al. (2001))。
細胞は以下の実験群に分けられた:1) 0.4 mTの磁界へのばく露、2) 1 mTの磁界へのばく露、3) 1 mTの磁界と20 ng/mlのTPAへの共ばく露、4) ポジティブコントロール、5) 擬似ばく露。それぞれの場合において、TPAは分析の1時間前に添加された。
各実験は少なくとも3回繰り返された。
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 24 hours |
ばく露の発生源/構造 | |
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チャンバの詳細 | petri dishes |
ばく露装置の詳細 | petri dishes were placed in the center of a custom made vertical cylindrical coil (7.6 cm height, 9.2 cm inner diameter, 12.3 cm outer diameter; 854 turns of enameled copper wiring, 1.2 mm diameter, 14 nested layers with 61 turns per layer) inside an incubator; field was constant within 1.7% in the area of the cells; temperature was maintained at 37.0 ± 0.18°C and CO2 at 5% in the incubator and temperature in dishes was 37.0 ± 0.1°C |
Sham exposure | A sham exposure was conducted. |
測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 0.4 mT | - | 測定値 | - | - |
周波数 | 50 Hz |
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タイプ |
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波形 |
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ばく露時間 | continuous for 24 hours |
ばく露の発生源/構造 |
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測定量 | 値 | 種別 | Method | Mass | 備考 |
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磁束密度 | 1 mT | - | 測定値 | - | - |
磁界ばく露(実験群1および2)と擬似ばく露の細胞の間に、ギャップ結合による細胞間情報伝達に有意な差は見られなかった。さらに、磁界とTPAの共ばく露(実験群3)とTPAの単独ばく露(ポジティブコントロール)の細胞の間に有意な差は見られなかった。
著者らは、研究結果から、マウスの線維芽細胞でのギャップ結合による細胞間情報伝達に対する50 Hz磁界単独の影響、またはTPAとの相乗的な影響に関して何も示唆は得られなかった、と結論している。
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