このレビュー論文は、電磁界発生源とそれらが重要な臓器に及ぼす影響、およびがんのリスクに焦点を当て、以下のように主張している。電磁界ばく露は、酸化ストレス、精子損傷、DNA損傷、クロマチン構造の変化、様々な細胞型での微小核の形成、遺伝子発現、酵素活性、細胞膜の構造と機能の変化を生じ、アポトーシスの増加とプラズマメタロチオネインとコルチコステロンの生合成を刺激する可能性がある。これにより、頭痛、慢性疲労、心臓の問題、ストレス、吐き気、胸の痛み、胃腸の問題、筋肉と関節の痛み、発汗、認知障害、目の燃焼、鼻、耳、喉の問題、生殖器、中枢神経、内分泌、心血管、免疫系に悪影響を及ぼす可能性がある。また、不安様行動の増加、空間記憶および学習の障害(特に雄の仔マウスで)、熱痛知覚の減少、睡眠障害、睡眠潜時、日中機能の不全の誘発(特に女性で)、記憶力の変化、マイクロ波放射への8時間のばく露後のウサギの水晶体上皮細胞の損傷、ラットにおける水晶体混濁の発生(白内障と関連)や、鶏胚の網膜分化の乱れを生じる。電磁界ばく露と、一部の腫瘍、特に脳腫瘍や白血病の発生率の増加との関連が認められている。電磁界は、フリーラジカルの増加と組織の抗酸化防御系の変化により組織の損傷を生じ、最終的には酸化ストレスにつながり、これが行動的、組織病理学的、生化学的な変化を生じる。第5世代(5G)移動通信と類似した、6 GHzを超える高周波(RF)電磁界を用いるレーダーへのばく露は、異なる部位でのがんの発生およびその他の疾患に影響を及ぼす。電磁界ががんを生じる可能性のあるメカニズムには、特定の酵素、例えばコエンザイムB12依存性エタノールアミンアンモニアライアーゼのフリーラジカル結合率に及ぼす影響があす。この酵素反応率は最大100倍に増幅される可能性がある。症例対照研究では、最も多く携帯電話を使用しているユーザーにおいて、神経膠腫、聴神経腫、側頭葉腫瘍のリスク上昇が認められた。実験動物をマイクロ波放射にばく露すると、学習と記憶能力の減少、異常な海馬形態、異常な脳波が生じる。また、脳内のノルアドレナリンとエピネフリンの減少につながり、これは神経伝達物質の生成障害を引き起こす可能性がある。これらの影響を確認するため、ヒトおよび実験動物での更なる研究が必要である、と著者らは結論付けている。
このウェブサイトはクッキー(Cookies)を使って、最善のブラウジングエクスペリエンスを提供しています。あなたがこのウェブサイトを継続して使用することで、私たちがクッキーを使用することを許可することになります。