研究のタイプ: 疫学研究 (observational study)

[燃え尽き症候群およびうつ病の重症度に対する超低周波電磁界ばく露の影響の調査;酸化ストレスの役割] epidem.

Investigating the effects of exposure to extremely low frequency electromagnetic fields on job burnout syndrome and the severity of depression; the role of oxidative stress

掲載誌: J Occup Health 2020; 62 (1): e12136

この研究は、火力発電所の労働者における燃え尽き症候群およびうつ病の重症度に対する、超低周波(ELF)電磁界ばく露によって生じるかも知れない影響、ならびに酸化ストレスの役割を調べた。火力発電所労働者115人(ばく露群)および病院の管理職員124人(非ばく露群)について、血清サンプル中のマロンジアルデヒドMDA)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼ(CAT)等の酸化ストレスのバイオマーカーのレベル、ならびに総抗酸化能を測定した。IEEE C95.3.1規格を用いて各発電所電界および磁界ばく露を測定した。燃え尽き症候群およびうつ病の重症度はMaslach燃え尽き症候群およびBeckうつ病インベントリを用いて評価した。その結果、ばく露群では非ばく露群と比較して、MDAおよびSODのレベルが有意に低かった。ばく露群では燃え尽き症候群の有病率およびうつ病の重症度が高かった。多重線形回帰では、労働経験、MDAレベル、磁界ばく露レベルが、燃え尽き症候群およびうつ病の重症度の最も重要な予測変数であることが示された。また、CATのレベルの減少が燃え尽き症候群の増加と有意に関連していた。これら結果から、ELF電磁界ばく露される火力発電所の労働者には燃え尽き症候群およびうつ病のリスクがあり、その影響は磁界ばく露によって直接的に、または酸化ストレス指標の上昇によって間接的に引き起こされる可能性がある、と著者らは結論付けている。

影響評価項目/リスク推定のタイプ

リスク推定のタイプ:

ばく露

ばく露評価

ばく露集団

グループ 説明
参照集団 1 unexposed group (hospital administrative staff): 1.4 ± 0,82 µT (mean magnetic flux density)
集団 2 exposed group (employees of a thermal power plant): 23.8 ± 14.64 µT (mean magnetic flux density)
参照集団 3 unexposed group (hospital administrative staff): 3.8 ± 1.75 V/m (mean electric field strength)
集団 4 exposed group (employees of a thermal power plant): 24,9 ± 12,9 V/m (mean electric field strength)

調査対象集団

調査規模

タイプ
合計 147
参加者 115
統計学的分析方法:

研究助成

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