著者:
Todorović D, Ilijin L, Mrdaković M, Vlahović M, Grčić A, Petković B, Perić-Mataruga V
掲載誌: Int J Radiat Biol 2020; 96 (8): 1076-1083
この研究は、静磁界および超低周波(ELF)磁界への慢性ばく露による、アルゼンチンモリゴキブリへの影響を包括的に分析した。1月齢の幼虫を静磁界(110 mT)またはELF磁界(50 Hz、10 mT)に5か月間ばく露し、10分間のオープンフィールド試験で移動(移動距離、移動時間および平均速度)をモニタした。その後、脂肪体とその主成分(グリコーゲンおよび総脂質)の量を判定した。幼虫の体重を磁界ばく露の1か月後および5か月後にも推定した。その結果、静磁界およびELF磁界への慢性ばく露は、幼虫の体重および脂肪体中のグリコーゲン量を減少させたが、移動についての全てのパラメータを増加させた。また、静磁界への慢性ばく露は脂肪体中の総脂質量を増加させたが、ELF磁界への慢性ばく露は脂肪体および総脂質量を減少させた。これらの知見は、ゴキブリの幼虫は印加した磁界に対して敏感であること、ならびに、ストレス条件を克服するためのエネルギー代謝戦略が、静磁界とELF磁界に対して異なることが示された、と著者らは結論付けている。