この研究は、土壌線虫Caenorhabditis elegansを50Hz、3 mTの超低周波(ELF)磁界にばく露し、生理学的順応を解明するため、リピドーム[細胞中の脂質の総体]、プロテオーム[生物や細胞中のたんぱく質の総体]、トランスクリプトーム[細胞中のmRNAの総体]の分析を実施した。その結果、リピドーム分析では、ELF磁界ばく露により、トリアシルグリセロールの有意な増加を含む64の脂質の有意な変化が生じた。プロテオーム分析では、ELF磁界ばく露下で157のタンパク質発現の変化が生じた。トランスクリプトーム分析では、456の遺伝子発現の変化が同定された。遺伝子オントロジー機能及び経路分析では、ばく露後にリピドームの変化、ミトコンドリアの機能不全、ストレス防衛応答が示された。プロテオームとトランスクリプトームのデータのコンジョイント分析では、発現が増加した遺伝子(sip-1、mtl-1、rpl-11.1等)はELF磁界ばく露に対するストレス防衛応答に関与していることが示された。これらの結果は、ELF磁界は主にトリアシルグリセロール量の増加等の脂質代謝の擾乱と、ストレス防衛応答の誘発を通じて、土壌線虫に影響を生じ得ることを示すものである、と著者らは結論付けている。
ばく露 | パラメータ |
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ばく露1: |
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